14歳の少女が精神病院で体験した「極限の地獄」 拒食症理由に強制入院で77日間身体拘束された

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退院後、両親との関係は悪化した。

「両親に対して、どうして拘束に同意したのか、どうして早く助けてくれなかったのかと何度も責めました。両親は面会や連絡が許されない中、『拘束しなければあなたが死ぬって、主治医が言うから仕方なく同意した』と言いますが、それにしてもなぜあんなことを許したのかと、わだかまりは残りました」

半年間の入院で体力が落ち通学自体が肉体的にきつく、さらに半年にわたり主治医から自分の意見を否定され続けたため、親しい友人たちともうまくコミュニケーションが取れなくなっていた。「緊張してどもってしまったり、文字が書けなくなったり、逆に1人で話しすぎたりと、円滑な関係を築くことができなくなっていました」。

結局、復学後、数カ月で不登校になり、進学した高校も1日も登校できず退学を余儀なくされた。専門学校やアルバイトも続かなかった。

「このころは1日2時間くらいしか起きていられず、あとはずっと寝たままでうつ病状態となり、薬の過剰摂取を繰り返し、救急車で搬送されたこともありました」

Aさんは19歳のときにいまの配偶者と出会い、結婚。それをきっかけに精神的な面はだいぶ回復し、2018年5月、不当な身体拘束を受けたとして、この病院に損害賠償を求める裁判を起こした。現在、東京地方裁判所で係争中だ。

身体拘束は患者の行動の自由を完全に奪う、最も強度な身体の自由に対する制約だ。精神科病院における身体拘束は、精神保健福祉法で

① 自殺や自傷の危機が切迫
② 多動や不穏が顕著
③ 患者の生命に危険があるなどのときに、ほかに方法がないと精神保健指定医が認めたとき

のみ、行うことができるとされている。

裁判所に提出された準備書面によれば、原告側の複数の専門医たちは、Aさんの入院当時の体重は、各種医学文献や摂食障害におけるガイドラインに照らしても、生命に危険が及ぶおそれがある数字ではなかったという。

またAさんは治療の必要性を理解し、身体拘束されるまで入院中の食事を経口摂取できていたこと、点滴抜去の防止のために拘束以外の代替手段を検討した形跡がないことなどから、身体拘束は要件に欠いた違法なものだと主張する。

これに対して、病院側は取材依頼に対して、「個別案件についての取材には、応じかねます」とするが、裁判所に提出した準備書面では、「拘束を中止したら、(点滴の)自己抜去や自殺企図、自傷行為の恐れ、安静を守れず過活動や運動もあると判断した。身体拘束以外に代替方法はなく、継続が必要だった」「両親や友人との交流を避けることが症状改善に必要なので、治療の一環として当面は家族との面会連絡を行わない治療方針で了解を得ている」などと主張している。

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