海外留学できぬ学生救う「国内留学」の濃い中身 オンラインとリアルを組み合わせた英語体験
最終プレゼンテーションでは、4チーム中1チーム(琉球和紙のチーム)のみ条件つきの採用という結果となり、経営者の厳しいフィードバックも予定調和ではない研修の醍醐味となっているようです。この国内での武者修行でも、学生の越境体験やブレイクスルーの面において、ベトナムのホイアンで見られたものと同様の効果を感じることができました。
この「地方創生イノベーション武者修行プログラム」を運営する株式会社旅武者の遠藤まさみ氏は、国内での武者修行の魅力についてこう語ります。

「多様性や異文化と聞くと海外を想像する方が多いですが、実は世代間·地域間においても、常識や価値観は意外と異なります。プログラムでは地元の人たちにインタビューやアンケートから始まり、いろんな協力を仰がないと、ビジネスが達成できない。そこではじめて、あれ、自分の常識が通じないぞ? となる訳です。そういったさまざまな課題を乗り越えて出来上がった地元の方々とのつながりは、国内開催ならではだと思います」
ただし、地方創生の国内研修は、課題も少なからずありそうです。例えば、地元の方との信頼関係が十分あるかどうか、研修の方向性が地域に貢献できるものであるかどうかは大切です。参加学生の行動も終始、地域に寄り添うものであることはマストとなります。また観光資源の少ない地域のプログラムは、現場の受け入れ要望があったとしても集客が難しく、テーマ設定が重要となりそうです。
遠藤氏は、「新しい教育手法や参加者の失敗も含めたチャレンジを見守ることについて、開催地の方々と理解を深めていくこと」を今後模索していきたいと話します。
春休み・夏休みという一過性のもので終わってしまう可能性もあるので、ゼロイチで作り上げた企画の持続可能性もポイントとなってくるでしょう。
これからの国内留学の展開
今回は、2つの国内留学のカタチとして「英語村の進化型」、「海外インターンシップの国内版」をご紹介しました。これからの国内留学に関して、筆者は次のような展開になると予想します。
- ・国内のリアル研修とオンラインを組み合わせたハイブリッド型の研修の増加
- ・「グローカル」をテーマにした海外の学生との協働プロジェクトの誕生
- ・北海道ニセコのように外国人が多いエリアでの交流プログラムの増加
- ・沖縄、北海道などのより参加までの移動距離の長いものが人気に
- ・国内→海外、海外→国内といった双方向の留学サイクルの誕生
新型コロナウイルスが国際教育に及ぼした影響は計り知れません。ただ、日本をより深く知ることができ、国際教育の一貫としても可能性がある国内留学の価値を発見することができたのは、明るい材料ではないでしょうか。「学びを止めない」というスローガンのもと、コロナ禍での学びの挑戦はまだまだ続きます。
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