まだ「スキルアップに囚われる人」の残念な未来 「ポジション思考」に転換すべき深い理由

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このように、「大きな問題さえ起こさなければ、基本的にはキャリアアップできる」というスタンスで人事を行っています。そこには、根拠となるロジックがあまり存在しません。

「この役割で何年か仕事をすればスキルが身につく」と言われているだけで、「その仕事をするために必要なスキルは何か?」という中身は、いつまでも具体的には示されないのです。

高度成長期の日本では、終身雇用の約束が確実に履行されていたため、スキル思考でも順調にキャリアアップできました。

風向きが大きく変わったのは、1990年代の終わりから2000年代初頭にかけての就職氷河期の時代です。当時は、不況による上場企業の倒産が大きなニュースにもなり、会社側が日本型雇用を維持できなくなりつつあることが明らかとなってきました。

あれから20年近くが経過し、その間もだましだまし終身雇用の幻想を維持してきたわけですが、世界金融危機(2007〜2010年)と2020年のコロナショックによって、いよいよ会社の体力が消耗し、終身雇用の約束を果たすことが困難となってきました。

今、日立製作所などの一部の大企業を中心にジョブ型雇用への移行が行われているのは、まさにスキル思考からの脱却を象徴する出来事と言えます。

目指すポジションを明確化しないと生き残れない

転職2.0の時代に「スキル思考」に代わる考え方となるのは「ポジション思考」です。ポジション思考とは、目指すポジション、すなわち役割を明確化すること。

例えば、エンジニアであれば、PM(プロダクトマネジャー)、あるいはリードエンジニアが目指すポジションとなります。

ただし、ポジション=役職ではありません。

営業職であれば、大企業向け営業担当か中小向け営業担当かによってもポジションは異なりますし、新規営業と既存営業でもポジションは異なります。ポジションによって求められるスキルが異なるため、外資系企業では、ポジション別の採用を行っており、日本でも同様の会社が増えています。

要するに、求人票やジョブディスクリプション(職務記述書、職務の内容を明記した文書)に記載されている職務内容が1つのポジションであるということです。

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