転職で「情報集めに必死な人」が失敗しがちな訳 キャリア観を変えなければ生き残れない

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人によって働き方の価値観はさまざまだということです。

いずれにせよ、転職活動をするときだけ必死に情報収集をして転職する手法は、20代前半までは運よくキャリアアップにつながっても、自分の市場価値を高めることにはほとんどつながりません。そのため、情報収集力だけを頼りに転職する手法は、年齢を重ねるごとに通用しなくなります。結果的に、ヒマさえあれば転職サイトをチェックし、結局は我慢しながら今の会社で働き続けるということになりかねないのです。

市場価値を高める=タグ付け

転職に向けた行動として、「転職1.0」で重視されたのが間接情報を得ることだったのに対し、新時代の転職の常識「転職2.0」で重視されるのが「タグ付け」と「発信」です。この「タグ」が市場価値を高めるための軸となるからです。

「タグ(tag)」とは、「荷札」「付箋」といった意味の単語であり、ウェブの世界では情報を分類するための単語や短いフレーズなどを指します。読者の皆さんも「インスタグラムの投稿にタグ(ハッシュタグ)をつける」といった文脈で日常的に使っている言葉だと思います。

「タグ付け」とは、一言で言えば、働く個人にタグを付けるということ。個人を想起させるためのフックとなるキーワードをつけるイメージです。

経営チーム強化コンサルタント、ヘッドハンターの岡島悦子さんが、以前からキャリア開発の分野で「タグ(強み)探し」の重要性を語られていましたが、今やタグという言葉は日常的に使われるようになりました。

ツイッターやインスタグラムの投稿にハッシュタグがつくことで、あるカテゴリーの情報が横串で検索できるようになります。それと同様に、個人にタグが付けば、自分以外の人から認知してもらいやすくなります。わかりやすいように、具体的なロールモデルをもとに解説していきましょう。

31歳、男性Aさん。都内の平均的な偏差値の私立大学出身。

1年の就職浪人を経て23歳で入社したのはエンジニアを派遣する中小の人材派遣会社。そこで法人営業を経験。1年でチームの売り上げを3倍に伸ばしたことも。
営業相手は主に中小企業。4年ほど勤務した後、27歳で現在の中小自動車部品メーカ ーへと転職。現在4年目で法人営業部所属。営業先は同じく中小の自動車部品メーカー。営業成績は部内で中間くらい。海外経験もあり。

人からは、「達成志向がある」「ハンタータイプ」「顧客のことを理解するのが得意」と評価されることが多い。

タグは、大きく分けて「ポジション(役割)」「スキル」「業種」「経験」「コンピテンシー」のくくりで分類が可能です。

Aさんの場合、「法人営業」というポジションにひも付くタグは非常にわかりやすくて強いタグだといえます。

営業スキルとしてテレアポやインサイドセールスが得意であれば「テレアポスキル」「インサイドセールススキル」というタグも成立しますし、業種のタグで言えば「自動車業界」が考えられます。

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