転職で「情報集めに必死な人」が失敗しがちな訳 キャリア観を変えなければ生き残れない

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「経験」としては「中小企業相手」がタグになりますし、さらに「1年でチームの売り上げを3倍に伸ばした」などの実績があれば、それも経験にひも付くタグとなりうるでしょう。営業の例で言えば、特殊な顧客を相手に仕事をしていた経験は強力なタグとなります。代表的なものではMR(Medical Representative:医薬情報担当者)の経験などは貴重なタグと言えそうです。

そして、最後にコンピテンシーです。コンピテンシーとはハイパフォーマーに共通して見られる行動特性のことです。コミュニケーション能力、誠実性、主体性、チームなどがこれにあたります。

Aさんの場合、コンピテンシーにひも付くタグには「達成志向がある」「ハンタータイプである」「顧客のことを理解するのが得意」「海外経験がある」といったものがあるでしょう。

市場価値はこのタグの掛け合わせで考えます。Aさんの場合、「法人営業×インサイドセールススキル×自動車業界×中小企業相手×1年でチームの売り上げを3倍に伸ばした×達成志向がある×海外経験」です。

個々のタグはほかにも多くの人が持っているため、それ単体では市場価値は生まれません。しかし、それぞれの掛け合わせで考えれば、そのような人材の希少性は一気に高まり、これがすなわち市場価値になります。

さらに市場価値を高めたいときには、希少性をより高めるためにどんなタグを掛け合わせたらいいのかを考え、そのタグが得られる仕事に転職をすればいいのです。

タグは発信することで企業からのオファーを呼ぶ

さらに、ミスマッチも防ぐタグは明確にするだけでもキャリアに絶大な効果を生みますが、発信することでより恩恵を受けることができます。

現在、転職の手段として、SNSを通じて、会社が直接タレント(転職希望者)に声をかける「ダイレクトソーシング」と呼ばれる形式や、「リファラル採用」(社員を介した推薦・紹介)の割合が日本でもじわじわと増えつつあります。

自らのタグを発信し、世の中に認知されれば、わざわざ転職エージェントに登録しなくても、ダイレクトソーシングやリファラルによる採用の可能性が高まります。

リアルな場で出会った人と名刺を交換して自分を知ってもらうことも有効ですが、関係を深めるには一人ひとりとピンポイントで対面しなければならないので非効率です。

今の時代はせっかくSNSというツールがあるのですから、積極的に発信するに越したことはありません。

もはや、SNSによる発信はネット上の「身だしなみ」とも言えます。自分のタイムラインを通じて、スーツを着るのか、ネクタイをしめるのか、あるいはTシャツ姿なのかを万人に公開するようなイメージでしょうか。

さらに、ダイレクトソーシングやリファラルによる転職でない場合でも、タグの発信は転職先とのミスマッチを防ぐ効果もあります。

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