「再ロックダウン」のイタリアで起きている現実 何千人もが「接種予約をキャンセル」の事態も

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おしゃれなレストランやブティックが並び、普段なら人でいっぱいのトリノ、ヴィットーリオ・ヴェネト広場、ロックダウン初日の風景(筆者撮影)
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イタリアでは今、新型コロナウイルスの感染がまたもや拡大中だ。昨年3月4月の第1波、11月12月の第2波に続く「第3波」ということになるが、近隣諸国ではイギリスやドイツがすでに年末から1月にかけて感染が爆発しており、それが収まったかと思うと今度はイタリア、そしてフランスも、というふうに、まさに「波」とはよく言ったもの、という状況だ。

変異種の広がりによって感染者数が再び上昇しつつある今、3月10日には感染者数が2万人を超えたことを受け、新たな規制が出された。多くの州がレッドゾーン、つまりロックダウンになった。300人前後だった毎日の死者数が、3月16日には一気に502人に昇った。

「多くの州がロックダウン」と書いたのは、全国一斉ロックダウンではなく、州によって規制の状況が違うからだ。第1波では、感染の少ない地域も含めて全国一律に都市封鎖を敢行したことで、感染者数を劇的に低く抑えることに成功したものの、経済的にも社会的にも多くの犠牲を強いた。

その反省から、第2波からは感染状況によって各州、地域を色分けし、規制の度合いを変えているのだ。私の住む北イタリアのピエモンテ州(州都トリノ)はレッドゾーンで、お隣のロンバルディア州(州都ミラノ)、エミリア・ロマーニャ州(同ボローニャ)、ラツィオ州(同ローマ)、カンパーニャ州(同ナポリ)など9州と一緒にロックダウンに入っている(3月21日現在)。

商店も飲食店も美容院も閉店

ロックダウンになると、商店も飲食店も映画館も美術館もジムも、ほぼすべてが営業ストップになるだけでなく、外出には外出理由などを細かく書いた自己申告書が必要だ。美容院も営業していないので、髪の毛はボサボサだ。第2波のときは、教育の遅れや子どもたちの精神的打撃、保護者の負担を軽減するため、学校は閉めず、交代制で対面授業を行うなどの工夫をしていた。だが、変異種では若者や子どもの感染者数もとても多く、重症化するケースも出始めていることから、第1波の時同様、幼稚園から大学までが休園休校、オンライン授業に切り替わった。

子どもが家にいることで仕事を諦めざるをえない女性は多く、昨年12月には1カ月の失業者が10万1000人で、うち9万9000人が女性というショッキングなデータもある。政府によるベビーシッター補助金、そして倒産の危機に瀕している飲食店などへの救済措置が急がれる。

公園で子どもを遊ばせるベビーシッター。今までこんなに稼いだことはない、と苦笑いをしていた(筆者撮影)
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