「再ロックダウン」のイタリアで起きている現実

何千人もが「接種予約をキャンセル」の事態も

トリノ市内の青空市場。普段であれば、写真右側にも衣料品、日用品などの店が並ぶが、レッドゾーンのため、左側の食品の屋台のみになっている(筆者撮影)

だが、今のイタリアの様子は第1波のときよりもずっと「普通」に見える。必要最低限の外出しかできないはずなのに、街にはけっこう人が歩いていて、バールやレストランもシャッターが開いている。それはテイクアウトの料理や飲み物を販売するための必死の策なのだが、ちょうど1年前の3月には、店や飲食店だけでなく、食品医薬品など必要最低限の物資以外は生産工場までも閉鎖されたから、街には本当に人っ子一人歩いておらず、どの店もシャッターが降りていた。あの悲しく恐ろしい空気も緊迫感も今はあまりない。

トリノ市内のバスは最大乗車数45人までに制限されている(筆者撮影)

緊迫感がないのは、1年も続く規制に疲れ切ってしまっていること、大きな数字に慣れて感覚が麻痺してしまっていること、そしてコロナとはこんなもの、というwithコロナな暮らしの技を人々が身につけたせいもあるだろう。スーパーや食料品店の入場規制も第1波のときのようには厳しくないところも増えたし、ロックダウンといっても公園では気持ちよさそうにピクニックをするカップル、ジョギングや犬の散歩を楽しむ人たちの姿があって、一見すると平和な光景だ。パトロールする警察車両も前ほどは見かけない。よく見るとみんながマスクをしていて、やっぱりパンデミック下の世界であることを思い出させられるのだが……。

「買ったものすべてを消毒」はもうしない

私自身も、買い物に行った後は、買ったものすべてを消毒したり、ショッパーや財布まで消毒していた去年のようなことは、もうしていない。すべてが未知で恐ろしかった1年前と比べ、今ではマスク手洗いディスタンスは守る、でも必要以上に怖がらなくてもいい、そんな判断をそれぞれがしているんだと思う。マスクも必要ない、と勝手に決めつけて、広場などで集まって騒いでいる若者(とも限らない)たちを見るのは恐ろしく、近くを通り過ぎるときは思わず息を止めてしまうけれど。

人々のそんな緩み、飽きを引き締める対策としてなのか、政府は「強化オレンジゾーン」とか「濃い赤ゾーン」など目新しい規制も繰り出している。わけがわからないとまったく不評である一方で、サルデーニャ州はほぼ感染者がいなくなったということで「ホワイトゾーン」になってイタリア中から羨望の目で見られていた。と思ったら、3週間でいきなり、イエローを通り越してオレンジゾーンに格下げになった。

一方でいったい、いつになったら元の生活が戻ってくるのか、もういい加減にしてほしい、というイライラも高まっている。だから3月のときのような、フラッシュモブや医療従事者への拍手イベントなども、もうあまり見かけない。あの頃はパンデミックがこんなに長く続くとは誰も思わず、一時的な国の大危機とみんなが団結し、盛り上がったのだと思う。ところが1年以上も自由に外出も旅行もできない、好きな人と集まれない、それがいつ終わるのかもわからない。こんな暮らしの中では、バルコニーで歌を歌ったりフラッシュモブで盛り上がるなんて、いくら陽気でポジティブなイタリア人でも無理というものだ。

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