フリードがシエンタより売れるようになった訳 グレード毎に異なるキャラクター設定の妙

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
シエンタの2列シート車「ファンベース」のシートレイアウト(写真:トヨタ)

シエンタ(3列シート車)とシエンタ ファンベース(2列シート車)にも、「グランパー」というアウトドアを意識した特別仕様車がある(いずれもガソリン車とハイブリッド車を用意)。やはり専用のフロントグリルやドアハンドル、ホイールなどを採用した仕様だ。だが、トヨタの販売ディーラーによると、グランパーは「さほど売れていない」という。トヨタの場合は、コンパクトSUVの「ヤリスクロス」や、ダイハツ「ロッキー」のOEM車「ライズ」の販売が絶好調のため、アウトドアテイストを持つモデルが欲しいユーザーはそれらを選択するのだろう。

フリードの勝因は2列シート車の健闘

両車の売れ筋は、いずれも3列シート車であることはすでに述べたが、2列シート車のフリード+も、一定数の需要はあるようだ。これもホンダ販売ディーラーの話だが、「キャンプなどのアウトドアユースで多くの荷物を積みたいとか、車中泊をしたいといった使い方が決まっている」ユーザーは、最初からフリード+を「指名買いする」という。

ちなみにフリード+は、スタンダードのフリードとリアゲート開口部のサイズが異なる。荷室高がフリードの1110mmに対し、フリード+は1255mmで、開口部地上高もフリードの480mmに対しフリード+は350mmと、より広く、低くなっているのだ。また、荷室を二分割できる「ユーティリティボード」下の収納スペースが広く、例えば車中泊をする際に、荷室に大人2人が橫になっても荷物を下のスペースに入れておくことができる。

シエンタの2列シート車ファンベースの場合は、荷室高が変えられる「デッキボード」を低い位置に設置すると荷室高1070mm、開口部地上高530mm。高い位置では荷室高985mm、開口部地上高610mmだ。こちらもリアゲートの開口部は広いが、ボード下スペースはフリード+ほど広くならない。2列シート車の使い勝手では、フリード+のほうに軍配が上がる。

以上の要素を踏まえると、フリードが2020年の販売台数でシエンタを打ち負かした要因には、「主力」の3列シート車だけでなく、「脇役」である2列シート車の健闘も大きかったといえる。フリード+は、スタンダードとあえてリヤゲートの開口部を変えるなど、より使う目的に沿った仕上がりにしたことが、一定数のユーザーに支持を受けているのだろう。また、クロスターといった今のSUVトレンドに合致したグレードがヒットしていることも大きい。フリードの勝利は、主力と脇役の各設定グレードがそれぞれ着実に売れたことによる総合力が、シエンタのそれを上回った結果ではないだろうか。

フリードの2列シート車「フリード+」のシートレイアウト(写真:ホンダ)
平塚 直樹 ライター&エディター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ひらつか なおき / Naoki Hiratsuka

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなどの専門雑誌やウェブメディアの編集者を経てフリーランスに。生粋の文系ながら、近年は自動運転や自動車部品、ITなど、テクノロジー分野の取材・執筆にも挑戦。ほかにも、キャンピングカーや福祉車両など、4輪・2輪の幅広い分野の記事を手掛ける。知らない事も「聞けば分かる」の精神で、一般人目線の「分かりやすい文章」を信条に日々奮闘中。バイクと猫好き。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事