「子どもの人権」を守るためにすべき4つのこと 小さな芽の段階でセンシティブになろう

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子どもの安全を守るために大切なことの4つめは「安心・安全な関係性のモデルを作ること」。これは、大人同士の関係性を安心・安全にしていく、ということです。大人同士が対等にコミュニケーションできているか、気軽に相談し合える関係性を作れているかどうかは非常に重要です。そうした関係性を見て子どもたちは学んでいきますから。大人たちがまず、子どもたちのよいモデルにならないといけないのです。

とくに家庭の不安定さや、学校教員とのあいだでなんらかのうまくいかない体験があった子たちは、これまでに大人同士の対等な関係というものを見ることができていないです。大人たちが安心・安全に関わり合う対等な関係性を子どもに見せてあげてください。

先ほども言ったように、「あれ、おかしいな」と思ったときに、それを忖度(そんたく)せずに団体にフィードバックできるか。難しいことだとも思いますが、それをやり続けることが必要です。そうすると、子どもたちもそんな大人を見ながら「コミュニケーションを諦めなくていいんだな」「思ったことは伝えていいんだな」と学んでいくことができるのです。

子どもたちが見て理解できるようなガイドラインを

──子どもの権利を守るためのガイドラインやルールは、どういうプロセスを経て策定するのがよいと思いますか。

私たちも現在、自団体のガイドラインを策定中です。「私たちの活動でどういうリスクがあるのか」、それをとにかく洗い出すことから始めています。どんなに可能性が低いと思われることでも、絶対に起きないということはありません。また、リスクを出し合い、意識するだけでも予防につながります。

写真:不登校新聞

そうしてリスクを出し合った後、「このようなリスクがあるから、私たちはこうします」というかたちで、自団体が取り組むことを明文化されるのがいいのではないでしょうか。明文化する際は、できれば子どもたちにも、読んでわかるようにしたほうがいいと思います。「私たちはこういう考えを軸に、みなさんとこの場所での生活を作っていきます」と子どもに説明するためです。

子どもたちはガイドラインを読んで「ねえ、やっていることと、ここに書いてあることがちがうよ」と言えるようになれることが理想です。たくさんある必要はありません。10個くらいの約束事でじゅうぶんですので、それをスタッフと子どもたちとの共通認識にしていく。そして半年ごと、1年ごとに点検していく。そのプロセスを子どもたちが見て学んでいく、そうしたサイクルが、結果として子どもの権利保障につながっていくと思います。

──ありがとうございました。(聞き手・茂手木涼岳、協力・本多寿行

重松和枝(しげまつ・かずえ)/NPO法人CAPセンター・JAPAN事務局次長。1997年にCAPスペシャリストの資格を取得し、幼稚園・保育所・小学校・中学校などでのプログラム実践に携わる。2004年からCAPセンター・JAPANの団体運営に携わり、2011年から現職。保育士研修や大学・NPO団体の人権研修の企画・講師として活動しながら、主としてCAP実践者のトレーニング部門(養成・育成)を担当。

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不登校新聞

日本で唯一の不登校専門紙です。不登校新聞の特徴は、不登校・ひきこもり本人の声が充実していることです。これまで1000人以上の、不登校・ひきこもりの当事者・経験者が登場しました。

また、不登校、いじめ、ひきこもりに関するニュース、学校外の居場所情報、相談先となる親の会情報、識者・文化人のインタビューなども掲載されています。紙面はすべて「親はどう支えればいいの?」という疑問点から出発していると言えます。

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