「叱る」「褒める」より効果的な「選ばせる」子育て 叱るなら優先順位をつけフォローを意識しよう

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「叱る」「褒める」より効果的な「選ばせる」子育て。子ども基準で伝えるにはどうしたらいいのでしょうか(写真:Ran&Ran/PIXTA)
「子どもを強く叱りすぎて、後から自己嫌悪に陥る」「何度叱っても言うことをきかない」など、子育てにおいて「叱る」という行為は難しく、誰もが模索しているのではないでしょうか。
教育者として数多くの子どもたちと向き合い、『麹町中校長が教える 子どもが生きる力をつけるために親ができること』の著者でもある工藤勇一氏(横浜創英中学・高等学校 校長)に「叱る」ことの本質について、また「叱る」より効果的な「タイムマシン・クエスチョン」についても聞きました。

叱る内容には優先順位がある

最近は「褒める育児VS.叱る育児」などと相対する方針のように語られることも多いようですが、「褒めること」も「叱ること」も、親が子どもに伝える大切なメッセージになります。

しかし改めて考えると、どちらも非常に難しいものです。

親として新米の頃は、褒めなければいけないと思って褒めたり、「周りの手前、叱っておかなければ」という気持ちから叱ったりすることもあるかもしれません。

ここでは、「叱る」という行為について考えてみましょう。「叱る」というのは、子どもが問題行動を取っているときに、「やめないといけないよ」というメッセージを伝えるためにすることです。

しかし子どもの立場で考えてみると、叱られれば叱られるほど、「やめなければいけない行動をどうやめるか」より、「叱られている状態からどう抜け出すか」が意識されてしまいます。

また、何をしても同じくらい叱られていると、何が一番大切なことなのか、子どもはわからなくなるのです。そうなると、本来のメッセージが伝わりません。

叱るときには、その子が叱られっぱなしにならないようなバランス感覚が必要です。

私が2020年3月まで校長を務めていた麹町中を例に取れば、麹町中では生徒に対して服装の注意は一切しません。「服装の乱れは、心の乱れ」などとよく言われますが、その概念自体がないのです。服装、頭髪は国や文化によって変わりますし、髪の毛が茶色でも、パーマがかかっていても、上履きのかかとがつぶれていても、たいした問題ではないからです。

そういった些細なことでは叱りませんが、命に関わること、人権に関わることで生徒が問題を起こしたときは、厳しく叱ります。

叱る内容に優先順位があるのです。

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