「叱る」「褒める」より効果的な「選ばせる」子育て 叱るなら優先順位をつけフォローを意識しよう

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厳しく叱るということは、けっして感情的に声を荒らげることでも、脅すことでもありません。もちろん体罰をふるうことでは断じてありません。

日本では、子どもが何かをできなくて叱るときに「頑張ればできる」というような精神論をついつい口にしてしまいがちです。

「頑張ればできるんだから、あなたもやりなさい!」といった言葉です。しかし、人は心的に安全な状態でないと、自分をうまくコントロールできません。叱責すればするほど悪循環におちいるだけで、いい結果をもたらすことは稀でしょう。

子どもに成長してほしいと願うのであれば、叱ったり、精神論を説いたりするのではなく、「そもそもうまくできないのが当たり前なんだよ。でも、もしそれであなた自身が困っているなら、工夫をして変えていかないといけないよね。どうすればいいと思う?」

というような、安心感を与える言葉がけが必要です。人はそれぞれ違います。同じ屋根の下で育った兄弟でも、まったく性格が違うというのはよくあることです。

親は子どもを人と比べないで、その子のありのままを受け入れる努力をし、どう支えていくかを考えたいものです。

叱ったあとのフォローを意識する

叱られることが好きな子どもはいません。そして、叱られた言葉は子どもに強く残ってしまいます。

叱られ続けた子どもは、「自分は悪い子だ」「どうせ自分なんて嫌われている」と感じてしまうこともあります。

また、叱られた子どもは多くの場合、叱られたことを引きずります。なかには、どんな顔を見せたらいいのかと、びくびくしている子もいます。できるだけ早く、もう怒っていないと伝えてあげることが大切です。

わが家でも、叱ったあとのフォローは意識していました。息子たちが小さなときにやっていたのは、私が叱るときは妻が、妻が叱るときは私が、子どもたちの視界から消えるというもの。叱るのもなるべく簡潔にして、終わったあとは叱っていないほうが出ていき、黙って抱きしめるというふうにしていました。

「お父さんお母さんはどんなに叱っても、君のことを絶対に嫌いにならないよ」と態度で示すためです。

学校でも、生徒を叱ったあとは必ずフォローをします。私がよくやったのはこんな方法です。

午前中に叱ったら午後一番、午後に叱ったら次の日の朝一番の授業前に、教室で1人作業をするのです。目線を落として、黙々と作業に打ち込んでいるふりをします。

そしてその生徒が入ってきたところで、目をあげ、視線をあわせます。朝一番なら「おはよう」とか、午後なら「よう」と声をかけます。あとは普通に接するだけ。叱ったことを掘り返して、とくにフォローしたり説明したりする必要はなく、一言二言、他愛もない会話ができればそれでOKです。

もし、生徒の態度がかたくなであれば「もうおしまい。切り替えよう」などと明るく伝えます。君のことを嫌いなわけじゃないよ、と言葉や態度で伝えることが大切です。

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