元日経のエースも参画、「深圳再開発」への疑問 宮越HD、1200億円の巨大プロジェクトの不可解

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宮越HDが深圳での再開発計画を進めるとした場合、もう一つハードルになりそうなのが開発資金だ。総額1200億円(4区画の合算、1区画300億円)もの巨大プロジェクトを実現するには、同社の財務規模では自己資金(2020年末の現預金は114億円)と事業収益だけでまかなうのは現実的に不可能で、今後、何らかの資金調達が必要になる。

実際、宮越HDは再開発計画を公表した2018年、大株主クラウンユナイテッド(宮越社長一族が100%の議決権を保有するネットホールディングの完全子会社)に対する第三者割当増資で77.4億円を調達している。

このスキームはやや複雑で、まず東京スター銀行が宮越社長個人に対して融資を行い、その後、宮越社長がクラウンユナイテッドに融資。同社への第三者割当増資により宮越HDに資金が入るという形式をとっている。クラウンユナイテッドは、第三者割当増資で取得した宮越HDの株式を担保として東京スター銀行に提供している。

日経の元経済部長を財務担当に

なぜ宮越社長個人を介して融資する必要があるのか。会社側は「クラウンユナイテッドが債務超過で融資審査基準に適さないため」(板倉常務)と説明している。

宮越HDのホームページ「深センプロジェクト」のコーナーには2018年4月20日以降、さまざまな情報が発信されている(編集部撮影)

宮越社長は2月下旬の取材時、金融業界に幅広いネットワークを持つ日本経済新聞出身の矢沢氏に財務本部長を兼任させる予定だと語っていた。「(再開発の資金として)自己資金のほか、国内金融機関や政府系金融機関から調達していきたい」(宮越社長)としているが、矢沢氏はその責務を担うことになるのだろうか。

時価総額1兆円を目指すというホームページ上の社長メッセージは、「さて、次はどんな宮越流の一手をポケットから取り出そうか。山あり谷ありの人生でしたが、私は今ほど胸がワクワクしていることはありません」と締めくくられている。

秦 卓弥 東洋経済 記者

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はた たくや / Takuya Hata

流通、石油、総合商社などの産業担当記者を経て、2016年から『週刊東洋経済』編集部。「ザ・商社 次の一手」、「中国VS.日本 50番勝負」などの大型特集を手掛ける。19年から『会社四季報 プロ500』副編集長。21年から再び『週刊東洋経済』編集部。24年から8年振りの記者職に復帰、現在は自動車・重工業界を担当。アジア、マーケット、エネルギーに関心。

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