元日経のエースも参画、「深圳再開発」への疑問 宮越HD、1200億円の巨大プロジェクトの不可解

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宮越HDは、1966年に宮越社長が25歳で東邦電器製作所を創業、電子部品の製造を開始したのが発祥だ。その後オーディオメーカーのユニセフグループとして業容を拡大。1983年にはダイエーから東証1部上場の音響機器メーカーであったクラウンを買収、1984年には東芝から東証2部上場の冷凍機器メーカー・田尻機械工業の経営権を取得するなど新興の投資グループとしても名を馳せた。

だが音響機器の基幹事業は新興国との価格競争で1990年代以降、大幅に縮小。財テクの失敗が追い打ちをかけ、バブル崩壊とともに凋落の一途をたどった。株価操縦を狙った仕手筋が暗躍していた銘柄として取り沙汰されたこともある。そんな中、生産工場向けに取得したという深圳市の土地が、今やハイテク都市の一角となったことで億円単位の賃料収入を生んでいる。

実は宮越HDによる深圳での再開発計画が浮上したのはこれが初めてではない。現地メディアによれば、宮越社長は2006~2007年に深圳をたびたび訪問。当時の陳応春副市長と面談し、19億元(現在の為替レートで約310億円)を投じて「ハイテク企業園区」へと再開発し、日本企業100社前後を誘致する計画だと報じられた。

2010年には深圳市省エネ協会と省エネルギー・環境保護事業で提携し合弁会社「深圳国際省エネセンター(仮称)」を設立するとのリリースを出している。

当局は重点プロジェクトを発表していない

しかしその後、再開発計画は進展が見られなかった。会社側は「(2012年に起きた)尖閣諸島の反日デモ問題が影響した」(板倉啓太常務取締役)と説明してきたが、現地の不動産関係者からは、「深圳市政府は外資単独での開発は支持できないというのが一貫した態度。宮越側も過大な要求を続けて立ち消えになった」という話が聞かれる。

宮越HDが公表している深圳の開発予定地の2018年12月時点の空撮(編集部撮影)

近年の状況についても、「現地のパートナー企業である美芝電器(宮越HDの子会社で深圳の不動産賃貸事業を手がける皇冠電子に10%出資)の創業者が亡くなり、 現地政府が同社の過去の放漫経営を問題視。(皇冠電子が所有するという)工場用地に関しても、当局の資産調査が入るかもしれない」(前出の関係者)といった不穏な指摘も聞かれる。

宮越社長が語った同社の工場用地一帯が「重点プロジェクトに認定されることになった」という情報は、少なくとも現時点では現地政府から対外的な発表はされていない。宮越HDはホームページで「できるだけ速やかに正式な開発許可を取得すべく精力的に協議」としているが、当局から開発許可が下りるかどうかは定かでない。

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