「声が出にくい人」を悩ませる発声障害の正体 専門医が解説する「音声障害」3つのパターン
機能性音声障害は、声帯や舌、唇など、声を出す器官(器質)に問題はないのに、出てくる「声」が正常でない症状をいいます。機能性音声障害は声帯や舌、唇も正常に動いており、きちんと息も吐けているのに、声帯や舌、唇など、声を出す器官の“使い方”がよくないために、正常な声にならないのです。
機能性音声障害の代表的なものとしては、次の3つです。
・過緊張性発声障害
舌やのどの筋肉が過剰に緊張することによって、声が出にくくなる障害。
・痙攣性発声障害
女性に多く、声を出すときにのどがキュッと締まったり、声がふるえたりする症状が起こる障害。大声や低音での発声で悪化し電話での発声がしにくいのも特徴。
・変声障害
声がわりの時期を過ぎても声変わりの前の高い声が続く障害。
身体的な異常で声がうまく出せない場合
器質性音声障害とは、声帯をはじめ、声を出す器官や声帯を動かす神経などの身体的な異常により、声をうまく出せない症状をいいます。甲状腺がん、肺がん、食道がん、胸部大動脈瘤や脳梗塞が原因となっているケースの音声障害もこの器質性音声障害に当たります。
器質性音声障害は、その要因となる病気・症状が治らない限り、症状が改善することはありません。
代表的な器質性音声障害には次の6つがあります。
・声帯炎
声帯に炎症を起こしている状態です。声帯炎になると、のどの痛み、かすれなどの症状がある。
・声帯ポリープ、声帯結節
声帯ポリープや声帯結節は、声帯にできる「こぶ」のようなもので、のどを酷使する職業の人に多く見られる。
・声帯萎縮
人と会話をしないことで声帯が萎縮したことにより、声が出しにくくなったり、しゃがれ声になったりする症状。とくに加齢による声帯萎縮のための嗄声を「老人性嗄声」という。息が長く続かず、会話をしているときに息継ぎが多くなったり、話しているときに咳をしやすくなったりといった症状も起こる。とくに男性に多い。のどの筋肉が弱ることで、誤嚥を誘発し、肺炎の原因になることもある。
・声帯麻痺
かすれ声になったり、発声時に息もれがして声にならなかったりといった症状が起こります。原因はさまざまで、甲状腺がんや肺がん、食道がん、胸部大動脈瘤のような重篤な病気からくるもの、脳梗塞や脳出血、脳外傷によるもの、また長時間の全身麻酔の影響によるもののほか、原因不明で起こることも。
・逆流性食道炎による音声障害
逆流性食道炎による音声障害は、強い酸性を持つ胃液や胃で消化されるはずの食べ物が食道を越え声帯まで及ぶことにより、声帯が炎症を起こし、声がかすれる障害。
・喉頭がん
喉頭にできるがんは「喉頭がん」という。がんの進行とともに声がれの状態がひどくなり、声門が狭くなるために息苦しさを感じるようになる。また血痰が出ることもあるため、比較的早期発見されやすいという特徴がある。
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