作家たちが猛反発「巨大化する出版社」の大問題 アメリカの大手出版社統合にあがる懸念の声

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「多くの書き手がこの業界から締め出され、本当にすばらしい仕事をしている人々が出版から足を洗わなければならなくなるのではないかと心配している」。独立系出版社の創業者で、作家でもあるジェイソン・ピンター氏はそう話す。

全米作家協会は今回の統合に反対する声明を発表。統合に待ったをかけるよう、司法省に求めた。

「一般書を扱う大手出版社の数が(アメリカでは)5社から4社に減り、ただでさえ競争の乏しい業界で、さらに競争が減ることになる」と声明にはつづられている。「書き手にとっては、出版権の獲得を競う出版社の数が減るわけで、必然的にアドバンス(契約時に支払われる前払い金)の提示額が下がることになる」。

実績のない作家には大変な時代に

出版社の統合が相次ぐ中、実績のない書き手の作品の出版を検討する版元は一段と減ってきている。

「数年前なら15万ドルで(出版権が)売れた作品でも、今ではビッグファイブのどこにも売れないことがある。反対に、数年前に50万ドルで売れた作品は、今なら100万ドルを狙えるようになっている」。そう話すのは、著作権エージェントのデービッド・クーン氏だ。「大手出版社の間では、一段と多額の金額を支払ってでも、誰もが売れると考えている作品(の出版権)を押さえようとする動きが強まっている」。

一部の業界アナリストは、今回の統合によって、こうした長期トレンドに拍車がかかるとみている。大手出版社は大ベストセラーが狙える目玉作品と既刊書への依存度をますます強め、新人や、著名ではないが無名でもない書き手たちの活躍の場はさらに狭まる、というわけだ。

サイモン&シュスターの買収が実現すれば、ペンギン・ランダムハウスはほかの大手出版社を圧倒する規模となり、アメリカの出版市場でおよそ30%のシェアを握ると推計されている。

(執筆:Alexandra Alter記者、Edmund Lee記者)
(C)2021 The New York Times News Services

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