ヤフーLINE統合、EC・金融で見据える「勝ち筋」 川邊・出澤両トップがコロナ禍で抱いた危機感

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――ドコモやKDDIは自社キャリアに顧客を囲い込むための手段としてネットサービスを拡充しています。今後ZHDの運営においてもソフトバンク色が濃くなり、ヤフーやLINEがユニバーサルなサービスとして積み上げてきた価値が低減する可能性はないでしょうか。

川邊:ソフトバンク色を出さないのは今後も重要だし、ソフトバンク側もそれをよく理解している。

すべてはスマホ決済の「ペイペイ」というネーミングに現れている。他社は「auペイ」とか「d払い」になったわけだが、うちは「ソフトバンクペイ」とか絶対やめたほうがいいと議論し、ユニバーサルな名前にした。(キャリア横断で使ってもらったほうがいいという)ネットビジネスの本質をきちんと理解している。

イシュードリブンな進め方が重要

一方で、そうは言っても誰に最初に使ってもらうの?という問題がある。例えばサービス開始時、ペイペイ利用者がゼロの時に、ペイペイ利用者の皆さんと呼びかけても誰も反応しない。だが、ソフトバンク利用者の皆さんは5%お得ですと打ち出せば、まずは数千万人の対象者に響く可能性がある。初期的なマーケティングには非常に有効なので、基本はユニバーサルでありつつも、柔軟な運用を行いたい。

「ベストな組織の形を模索していく」と述べた出澤氏(右)と川邊氏(左)(撮影:梅谷秀司)

――事業会社としてのヤフーやLINEは今後も存続しますが、両社の社員のコラボレーションはどのように進めて行きますか?

出澤:集中領域、根幹領域としたサービスの関係者はすでにかなり密にやり取りしている。3月1日からようやく具体的なことを話せるようになったばかりだが、いいスタートが切れている。まずはプロジェクトベースでいろいろチャレンジしながら、ベストな組織の形を模索していきたい。

川邊プロジェクトベース、イシュー(議題)ドリブンな進め方であることが重要だと思う。コロナ前であれば、仲よくなってほしいサービス領域では両社の人材を同じフロアに配置する、部署ごと統合するなどができたけど、在宅勤務者が大半である今は物理的に場所や組織形態を変える意味がほぼない。現場のメンバー同士で日常的に会話するためのイシューを、いかに経営陣で作っていけるか。その点を重視したい。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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