ペイペイモール「最後発だから勝てる」皮算用

ヤフーのEC戦略「最前線」をキーマンが明かす

300兆円の家計消費をめぐる頂上決戦。ヤフーはどう戦うのか(デザイン:熊谷 直美、写真:Getty Images)
「あの『100億円あげちゃうキャンペーン』がeコマースで帰ってきた!」――。ヤフーは10月、同社グループのスマートフォン決済サービス「PayPay(ペイペイ)」と同じブランド名で、2つの新サービスを開始した。フリマアプリの「ペイペイフリマ」と、ネット通販(EC)モールの「ペイペイモール」だ。11月1日からは、最大で購入額の20%をポイントで還元するキャンペーンも実施している。ペイペイモールでは、冒頭の売り文句のとおり、100億円を投じる。
国内のEC市場は拡大が続いている一方、上位数社への寡占化が進んでいる。双璧を成す楽天、アマゾンに対し、ヤフーは「Yahoo!(ヤフー)ショッピング」を育成することで猛追してきた。ここに買収するZOZO(ゾゾ)の「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」やペイペイモールを加えることで、「2020年代前半に国内EC(物販)でナンバーワンを目指す」(ヤフーの川邊健太郎社長)と意気込む。
『週刊東洋経済』の11月5日発売号では、「EC・決済覇権バトル」を特集。熾烈を極めるECモール間の戦いだけでなく、それを取り巻く小売り、物流、金融各社などの動向も取材。消費増税で一気に過熱してきた300兆円の家計消費をめぐる頂上決戦を追った。
IT・ネット大手が手がけるECモールで現状「最後発」のペイペイモールは、他社とどう戦っていくのか。あえてヤフーショッピングと別の新サービスとして立ち上げた狙いはどこにあるのか。ヤフーのコマースカンパニー、畑中基・ショッピング統括本部長に聞いた。

拭えなかった利用者の「不満」

――すでにヤフーショッピングというECモールが大きく育ちつつある中で、もう1つ別のサービスとしてペイペイモールを立ち上げました。ヤフーショッピングだけでできなかったこと、どんな課題をクリアするために新サービスを作ったのでしょうか。

2013年にヤフーは「eコマース革命」(出店手数料、売り上げ手数料などの無料化施策)で大きな勝負に出た。それまではお客さんがサイトに来ても、「欲しいものがないね、オトクでもないし」という状態だったので、まずはストアを増やそうと。この施策でヤフーショッピングは、他モールと比べても最大級の商品数を誇るサイトになった。

『週刊東洋経済』11月5日発売号の特集は「EC・決済覇権バトル」です。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

これがひと段落したところで、今度はヤフーのプレミアム会員、ソフトバンクのスマートフォン利用者に対するポイント還元策を強化した。利用者に対してもヤフーショッピングならオトクだねという印象を作れた。

ただ、量にフォーカスする施策を次々打つ中で、どうしても当社側でのコントロールが効きにくくなる面もあった。例えば、商品が届かないとか、到着が遅いとか。配送面だけでなく、問い合わせに対して早いところは30分弱で返事が来るけど、遅いと何日も待たされる。あとはサイトの見た目で、商品画像が1枚しかないとか。モールの特性上仕方ないとはいえ、ストアの質のばらつきに対する利用者の不満・不安は、つねにあった。

そういう中で、量から質へ転換する必要性を感じてきた。そこで出店基準として今までより高いハードルを設け、それをクリアしたストアだけが出店できる場を、これまでのサービスの延長ではなく新たに切り出して作った。(商品やストアの)量は量で、今後もヤフーショッピングを通じて追求していくが、質の高いEC体験もしていただきたいという経緯で、ペイペイモールが出来上がった。

次ページグループ企業の「成功例」を踏襲
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