ペイペイモール「最後発だから勝てる」皮算用 ヤフーのEC戦略「最前線」をキーマンが明かす
拭えなかった利用者の「不満」
――すでにヤフーショッピングというECモールが大きく育ちつつある中で、もう1つ別のサービスとしてペイペイモールを立ち上げました。ヤフーショッピングだけでできなかったこと、どんな課題をクリアするために新サービスを作ったのでしょうか。
2013年にヤフーは「eコマース革命」(出店手数料、売り上げ手数料などの無料化施策)で大きな勝負に出た。それまではお客さんがサイトに来ても、「欲しいものがないね、オトクでもないし」という状態だったので、まずはストアを増やそうと。この施策でヤフーショッピングは、他モールと比べても最大級の商品数を誇るサイトになった。
これがひと段落したところで、今度はヤフーのプレミアム会員、ソフトバンクのスマートフォン利用者に対するポイント還元策を強化した。利用者に対してもヤフーショッピングならオトクだねという印象を作れた。
ただ、量にフォーカスする施策を次々打つ中で、どうしても当社側でのコントロールが効きにくくなる面もあった。例えば、商品が届かないとか、到着が遅いとか。配送面だけでなく、問い合わせに対して早いところは30分弱で返事が来るけど、遅いと何日も待たされる。あとはサイトの見た目で、商品画像が1枚しかないとか。モールの特性上仕方ないとはいえ、ストアの質のばらつきに対する利用者の不満・不安は、つねにあった。
そういう中で、量から質へ転換する必要性を感じてきた。そこで出店基準として今までより高いハードルを設け、それをクリアしたストアだけが出店できる場を、これまでのサービスの延長ではなく新たに切り出して作った。(商品やストアの)量は量で、今後もヤフーショッピングを通じて追求していくが、質の高いEC体験もしていただきたいという経緯で、ペイペイモールが出来上がった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら