ペイペイモール「最後発だから勝てる」皮算用 ヤフーのEC戦略「最前線」をキーマンが明かす

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――ヤフーショッピングの中に、新しくプレミアムな枠組みを作ることもできたと思います。ネットサービスの場合、1つのプラットフォームにすべての顧客を集客するメリットもありますが、あえて場を分ける、加えてペイペイの名前でという判断をされた理由は?

マーケティング上の理由が大きい。ペイペイの登録者数は足元で1900万人と、圧倒的な勢いで増えている。それを活用しない手はない。リアル店での買い物においてオトクだという印象はだいぶ定着してきたので、ECでもオトクだということをしっかりアピールしたい。だから「ペイペイ」の冠を付け、ヤフーショッピングとは別サービスとした。

ヤフー コマースカンパニーの畑中基・ショッピング統括本部長/アパレル企業勤務の後、2003年にヤフー入社。「Yahoo!ショッピング」の企画・営業に携わり、2012年に本部長就任。2018年4月に「Yahoo!トラベル」「Yahoo!ダイニング」の営業本部長を兼任、同5月よりスマホ決済サービス「PayPay」の営業責任者、6月にPayPay取締役に就任。2019年10月より現職(撮影:今井 康一)

――ソフトバンクグループの出資先であるアリババでも、雑多な商店がたくさん出店する「淘宝(タオバオ)網」と、ハイブランドも含め厳選された店が並ぶ「天猫(ティエンマオ)(Tモール)」の2つのモールを展開しています。今回のヤフーの戦略も、この立て付けに似ているところがありますか?

おっしゃるとおり、タオバオとTモールの関係性はヤフーが目指しているものに近い。あと、ヤフーのグループ内で手がけるサービスでいうと、ホテル探しの「Yahoo!トラベル」と「一休.com」の関係性に近い。ヤフートラベルは、アパホテルや東横インなど、ビジネスユース含めオトク感のあるホテルの掲載が中心。一方の一休は、リッツカールトンやアマンなど、プレミアム感のあるホテルを中心に掲載している。

同じ領域でもコンセプトの違う2つのサービスを持つことで、プレミアム感を求めるとき、ビジネスユースのときと、利用者側ですみ分けをして使ってもらうことができる。その結果、ヤフーのトラベル事業全体がしっかり伸びている。ECの個人消費においても、同じように多様なニーズが存在する。

「プレミアムモールだから出店する」というメーカーも

――ペイペイモールの出店者(予定も含む)には、ゾゾ以外にも玩具のタカラトミー、化粧品のファンケルなどが名前を連ねています。

現時点ではヤフーショッピングにも出店しているストアがメインだ。ただ一部には、「プレミアムモールだったら出店する」という声をもらって、新しく取引が始まったストアもある。

私は以前、ヤフーショッピングの営業責任者をやっていたが、その中では冒頭に話したような質の問題で、ブランド系のメーカーさんなどに「(ヤフーショッピングの中で中小店舗と)十把一絡げにされたくない」と言われることが少なくなかった。今回ペイペイモールができたことで、「それなら出るよ」と言ってくださる店は明らかに増えた。

もう1つペイペイモールに期待してもらっているのは、ペイペイ利用者向けのキャンペーンをやっていくという点だ。ヤフーショッピングと違い、出店者には出店料を払ってもらう事業モデルなので、その分しっかり集客力を発揮できなければと思っている。

――UI・UX(使い勝手や買い物体験)についても、商品カテゴリーごとに調整しています。

ヤフーショッピングで見づらかった部分を、今回のペイペイモールでかなり変えている。まずは家電カテゴリー。ブランド、型番を絞ったうえで価格比較をしやすい形にした。それからファッション。かなりゾゾを参考にさせてもらったが、画像を白抜きで、全身が見えるようにした。まず今特化しているのは家電とファッションだが、今後は食品などにも、カテゴリー特化の見せ方を入れていきたい。

ヤフーショッピングだと、大小いろいろなお店がいろいろな形態で商売をしている。すると運営会社としては、どうしても最大公約数的なシステムや見せ方しか用意できない。また、すでにある数千、数万のお店に新方針への対応を強制するのにも無理がある。それもあり今回、別モールでイチから各ジャンルにふさわしいUI・UXを作った。まったく新しいモールだからできたことだ。

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