ヤフーLINE統合、EC・金融で見据える「勝ち筋」 川邊・出澤両トップがコロナ禍で抱いた危機感

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――サービス連携のシナジーは、具体的にどう創出しますか?

川邊:共通するサービス領域は、両方を使っているという人が一定数いると思う。これまでは当然、別々に最適なユーザー体験を作ってきたけど、今後はそれをシームレスに考えていくので、使い勝手がよくなるだろう。例えばポイントプログラムやクーポンの仕組みを一緒にできれば、この店ではヤフー、この店ではLINEというふうに使い分けなくて済む。

出澤:別の切り口でいうと、オペレーションの改善も行えるだろう。例えば仮定の話だが、(LINE傘下の)出前館が持っているラストワンマイル配送の仕組みで、ZHDのコマースの配送をお手伝いするといったことが可能かもしれない。1社だとコストと効果が割に合わずできていなかったこともある。そういったサービスの裏側の新しい取り組みも進めたい。

クレカや電子マネーより勝算がある

ーースマホ決済に関しては、プロダクト委員会の開催に先んじてサービス統合の方針を決めています。

出澤:ギリギリまで話し合い、発表会(3月1日月曜)の前の週の金曜日に最終結論を出した。やはりユーザー体験としてどういうものが最適かを考えた結果だ。フィンテックはわれわれの成長の柱の1つ。その入り口であるQRコード決済の整理は、ほかの領域と比べても非常に優先順位が高かった。

「コード決済」には勝算があると述べた川邊氏(撮影:梅谷秀司)

――ペイペイとLINEペイが一緒になれば「無敵」ですか?

川邊:いや、全然(笑)。

そもそも、日本では今も現金が強い。キャッシュレス手段の中で考えても、歴史の長いクレジットカードが強い。全然まだ頑張らないといけない。コード決済というものすごく狭い世界の中でいえば、ペイペイとLINEペイが統合することでものすごく強くなるとは思うけど。

クレカとか電子マネーと比べコード決済という手段がどうかというと、僕はけっこう勝算があると思う。強みは、安価な技術を使っているので低コストで柔軟な運営を行えること。高度で高コストな技術を使うと、結局は手数料に跳ね返る。クレカの普及が一定程度で止まっているのがそれを証明している。

――集中領域の1つとして「コマース」を挙げています。発表会で触れられたオンラインギフトやライブコマースも魅力的な新施策ですが、アマゾンや楽天を抜いてトップになるためには品ぞろえ、物流など”王道”の強化策も必要では。

川邊:王道施策の強化と別の道の開拓、両方やっていかないと(楽天やアマゾンに)追いつけない。コロナ禍ではECへの需要が爆増したが、当社より楽天のほうがその”恩恵”を強く受けた。

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