楽天「送料改革」、出店者が反発する根本原因 主張は真っ向から対立、他社ECと何が違う?
「店舗の生の声を聞いて、昔のような楽天に戻ってほしい」。公正取引委員会の入居する中央合同庁舎の前で、ネット通販(EC)事業者で構成する任意団体・楽天ユニオンの勝又勇輝代表はそう訴えた。
国内最大級のECモール「楽天市場」運営者である楽天と、そこに出店する一部の事業者との「対立」が深まっている。最大の焦点になっているのは、楽天が3月に導入を予定している全店共通の「送料無料ライン」。消費者が楽天市場内のどの店舗を利用しても、購入額が3980円以上であれば一律で「送料無料」とするものだ(冷凍・冷蔵品、沖縄離島への配送など一部対象外も)。
楽天市場の送料無料ラインの統一は、「消費者の不満でとくに多いのが送料体系のわかりにくさ」(楽天の三木谷浩史会長兼社長)だったことから検討が始まった。構想の発表は2019年1月。一部利用者向けの実証実験を同年3月から3カ月間実施し、この結果を受け8月に「3980円」という金額を決めた。12月には、2020年3月18日に全店舗への適用を開始する旨を通知している。
「優越的地位の濫用」にあたると主張
だが、店舗側に選択の余地がないこと、新たに発生する費用が店舗負担となることなどに反発の声が上がっている。楽天ユニオンはこの送料無料ライン導入は独占禁止法上の「優越的地位の濫用」にあたるおそれがあるとし、1月22日、公取委に排除措置命令を求める請求書と店舗や消費者から集めた1700件以上の署名を提出した。署名は現在も「1日数十件というペースで増え続けている」(勝又氏)という。
楽天ユニオンによる問題提起はほかにもある。ユニオンは送料問題の署名と同時に、「アフィリエイト最大8%(店舗が支払う料率の引き上げ)の撤回要求」「違反点数制度・罰金制度の廃止及び罰金返還要求」「楽天ペイ(決済システムの強制導入)の撤回要求」と題した署名も集めている。どれも楽天が近年行ってきた、出店者向けの規約変更に反発するものだ。4案件を合わせた署名総数は、1月19日時点で4000件近くに膨らんでいる。
楽天ユニオンの顧問を務める川上資人弁護士は、22日に行われた会見で、ECモール運営者と出店者の対立は「現代のビジネスにおける新しい課題」と指摘した。「両者間の圧倒的な力の差が顕在化しているように思う。出店者と話していると、『昔からこういう問題はあったが、送料改革で一方的に負担を強いられるのには、さすがに堪忍袋の尾が切れた』との声を聞く。声を上げざるを得ない状況になったということだろう」(川上氏)。
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