楽天「送料改革」、出店者が反発する根本原因 主張は真っ向から対立、他社ECと何が違う?

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楽天と出店者の対立の背景にあり、楽天ユニオンが「諸悪の根源」と指摘するのが、「楽天市場出店規約」に明記されている「規約の変更」の条文だ。具体的には、「甲(楽天)は、必要と認めたときには、乙(出店者)に対して予告なく本規約および本規約に付随する規約の内容を変更することができる」とある。これに対しては「何でも一方的に変更できる”奴隷契約”では」と懸念する店舗もある。

だが実は、これに限りなく近い条文はヤフーの運営する「Yahoo! ショッピング」、アマゾンジャパンの運営する「amazon.co.jp」などにも存在する。ネットサービスは技術進歩やトレンド変化に合わせ日々改善を行うのが常であり、すべての変更について出店者の了承を得るのは現実的でないためだ。加えて、そもそも楽天含めどのモール事業者も、実際に「まったく予告なく」変更を行うことはまれで、たいていはメールや文書での事前通知を行っている。

ではなぜ、楽天がことさらに叩かれるのか。その要因は、実際にどんな内容の規約変更をどのような手順で行うかという、運用面にあると思われる。

規約変更に至るまでの手順にすれ違い

まずは規約変更の内容そのものだ。「楽天は他社に比べ、出店者にとってハードな変更を行うことが多い。それによって楽天の利益は増えるかもしれないが、店舗は利益をどんどん削られ、何も残らなくなってしまう」(楽天ユニオンの勝又代表)。楽天市場で10年以上商売を続けてきたある出店者は、「売り上げから楽天に支払う手数料率は、初期の頃から1~2割上昇した」と嘆く。

楽天ユニオンの川上資人顧問弁護士(左)は会見で、楽天の度重なる一方的な規約変更は「独占禁止法で定める優越的地位の濫用に当たる可能性がある」と強調した(記者撮影)

もう1つは、規約変更に至るまでの手順だ。この点は楽天側、ユニオン側の主張が真っ向から対立している。

楽天は今般の送料改革に向けて、47都道府県に役員や担当者を派遣し、計50回に及ぶタウンミーティング(施策に関する説明会)を実施。変更によって楽天が目指す方向性や店舗にとってのメリットを説いてきた。今後についても、楽天は22日に行った記者説明会で「3月の施策開始で終わりではなく、店舗からいただく声や受注データ、ユーザーの動向を加味し、必要があれば変更も加えていく」(送料改革を率いる楽天CEO戦略・イノベーション室の川島辰吾氏)と、丁寧に対話を行う姿勢を強調している。

一方で楽天ユニオンは、楽天の対応の不十分さを指摘する。「RON会議室(店舗向け掲示板)で楽天側に実証実験などに関する質問を投げても、基本的に『回答できない』という返答しか得られておらず、話し合いは成立していない。タウンミーティングでも、一方的に説明だけをする形だと(参加した出店者から)聞いている」(楽天ユニオンの坂井健一副代表)。川上弁護士も「いちいち話に応じなくていいという傲慢な姿勢があるように感じる」と話す。

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