ヤフーLINE統合、EC・金融で見据える「勝ち筋」 川邊・出澤両トップがコロナ禍で抱いた危機感
川邊:「代替」と言ってしまうと志が低いけれど、自信を持っておすすめできるものを(アメリカ勢でも中国勢でもない)ニュートラルなわれわれが提供することはますます価値を増している。コロナ禍で感染者の発生状況や政府の対応方針が各国で異なる中でも、ローカルに根差したプレーヤーが力を付けることの重要性を痛感した。
――LINEは日本だけでなくアジア圏に多くの利用者を抱えています。ここでの手応えは?
出澤:海外でも、LINEやその関連サービスのアクティブ度はコロナ禍を経て格段に上がっている。外出ができない中で重宝されているのは日本と同じだ。LINEの世界地図(展開地域)はすでにほぼ決まっている。それは日本と、台湾、タイ、インドネシア。今後もここを深堀していく形でスーパーアプリを目指す。
そこでキーワードになるのが、コマース、O2O(Online to Offline)、フィンテックの3つだ。
連携すべきものがたくさんある
どの領域についても自力での成長に加えて、ZHDと一緒になったメリットは出てくるはずだ。とくにコマースに関してはZHDにさまざまなサービスや知見がある。それらをLINE側で取り込むことで成長確度を上げていけると思う。
O2Oの関連でも、例えばインドネシアなどでは今スタートアップがボコボコ生まれユニコーンも出ている。そういう会社に対し、例えばソフトバンク・ビジョン・ファンド(の投資)も絡めた形だとか、いろいろなアプローチができると思う。
――会見では共通領域の整理について、スマホ決済は統合に向け準備すること、ニュースは両サービスを別々に残すことなど、いくつかのサービスについて言及がありました。統廃合や撤退はどう判断していきますか。
川邊:最も優先順位が高いのはサービス間の連携を促進することだ。その後に統廃合も含め可能性を考えていく。いずれにしてもユーザーのほうを向いて、どういう連携をしたら便利になるのか、統廃合があるべきかを、まさに今日(3月4日)から始まった、役員陣が週に1回集って行うプロダクト委員会で議論していく。方針が決まったものからどんどん現場に伝え、サービスへの反映に向け動いてもらう。
(ヤフー、LINE合わせて)200以上のサービスがあり、その数自体は創業から25年のヤフーのほうが多い。LINEの側にはコミュニケーションから発したサービスがある程度限定的にある状態。つまり、すべてのサービスがヤフー、LINEで2セットずつあるわけではないので、統廃合すべきものより連携すべきもののほうがはるかに多いというイメージだ。
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