プロダクトとサービスを融合させたい
三宅:コニカミノルタの社員の方に聞きましたが、市村さんは今でもNECと良好な関係を保っているそうですね。上手に辞めたというか、惜しまれて辞めたというか。つまり組織に対して、だいぶ貯金を積んでから出てきたということですね。
市村:業界全体やビジネスそのものが盛り上がっていれば、ひとりの人間の影響度など小さいものだと思いますよ。
三宅:でもそういう人でなければ、他社から請われることはないと思います。前回、コニカミノルタに移った直後は、世界中の現場を回って徹底的に会話をしたと伺いました。それが最初のステージだとすると、次はどんなことをしましたか。
市村:当時、よく議論したのが、プロダクトとサービスのハイブリッドモデルについてです。ハイブリッドというのは、プロダクトもサービスも両方しっかりやっていくということであって、サービスをメインにして、プロダクトを付属にするのではありません。あるいは、プロダクトの付加価値としてのサービスでもありません。サービスだけでもちゃんとお客様から評価されるサービスを目指す、この2つが両立して初めてシナジーが生まれるのである、という議論に多くの時間を費やしました。
サービスというのは、個々のお客様の期待に対して何を提供するかということなので、相対的です。非常に分散した世界ですし、市場規模も狭く区切られていて、グローバルトップ30社のシェアを全部合わせても、全世界の45%ぐらいしか占めません。
この点、プロダクトには「少なくともシェア10%とか、20%取らないと、ビジネスじゃない」というマーケットシェア志向があります。でもサービスというのは、そういう断片的な世界なので、「自分たちのやるサービスとは何か」ということを、極めて明確に特定していかないといけません。
そのため、1年くらい前からわれわれのサービスを行う領域を「デジタルワークフローサービス」として特定していきました。領域を特定して、みんなの興味をそこに集中させていくと、「じゃあ、その中でもっとこれをやろう」とか、「ここはちょっとイマイチかな」という議論がしやすくなる。
三宅:それはみんなの中の議論から出てきたのですか。それとも「こうだ」と、市村さんが決めたのですか?
市村:現場の議論の中から出てきましたね。どんどん出てきたアイデアに対して、なにか総称するキーワードが欲しいので、「デジタルワークフローサービスって命名するけど、どうだ」という議論をしていったら、「そうだね」というふうにみんなの意見が集約されてきました。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら