事業を楽しんでやってる人には敵わない コニカミノルタ マーケティング本部副本部長 市村雄二(下)

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顧客視点のサービスを徹底

三宅:合意形成のプロセスがあったのですね。デジタルワークフローサービスとは、具体的にどういうものでしょうか?

市村:お客様にとってのワークフロー、ビジネスプロセスをサービスで提供しますということです。コニカミノルタは、複合機などのプロダクトを提供しています。そこで使われる紙やコンテンツをデジタル化し、そのイン/アウトに関するワークフロー全体のマネジメントを提供します。その流れがスムーズでないと、お客様の業務効率は上がらない。そうなるようにプロセス全体のインテリジェンスを上げたり、マネージしますというサービスです。

三宅:このサービスには、競合とは違うポイントがあるのですか。それとも競合との差別化を図ること自体、プロダクト的発想で、お客様のニーズにちゃんと応えられるほうが大事などの発想がありますか。

市村:おそらく他社さんも似たようなサービスはもうお持ちです。それと私どもとの違いは、顧客視点で考えたサービスを提供する点を徹底しているというところですね。いちばん大事なのは、お客様起点ですべてを考えるところです。プロダクトに対する付加価値ではないので、お客様がたとえばサービスだけが欲しいとなったら、サービスだけでも売ります。極端な話、既存のプリンタがあって、それが競合の製品なら、お客様の利便性を優先してそのままでも使えるようにします。

プロダクトというのは、技術の源泉であるR&D(研究開発)を行って、技術を商品にして、全世界に売ります。だから技術を頂点、お客様を底辺にする三角形になぞらえて、底辺にあたるマーケットシェアを広くすることが非常に重要です。A社に売れなければ、同じ商品をB社、C社に売らなくてはなりません。シェアを多くとることによって資材購買のコストが下がるから、競争力が増し、R&Dの費用も出せる。そして自分たちの技術を一極集中的に高度化していって、三角形の裾野に向けて、全世界に勢いをつけてバラまく。これはプロダクトの世界では典型的なビジネスモデルですね。

ところがサービスということになると、この三角形の上下が逆の形になります。お客様を頂点とし、技術を底辺とする三角形になるのです。会社全体でそれぞれのお客様の満足感を高め、それを維持することに全精力を注力しなければならない。

しかしそれをやろうとしてA社用のサービス、B社用のサービス、C社用のサービスと分けていると、サービスの種類が増えてしまって、組織としては効率が悪い。だから標準化が大事になる。ITを使ってツールを回したり、プロセスを標準化して上級の人でなくても上級の仕事ができるように教育をしたりしていかないといけない。

この三角形と逆三角形をハイブリッドしてやっていくことが必要です。

三宅:これはたいへん示唆深い図です。コンサルティングのフレームワークにそのまま使えます(笑)。ところで、2つの三角形は、大きさにも意味があったりしますか。

市村:そうですね。どちらかがおんぶされているのはダメで、それぞれが自立している必要があります。この2つは親子ではなく、必ず対等な大人同士の関係でないといけない。

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