「モノ売り」から「コト売り」へ
三宅:市村副本部長は現在、コニカミノルタのICT(Information and Communication Technology)・サービス事業統括部長でもありますが、今どんなことをしようとしているのか、どんなミッションを与えられているのかをお聞かせください。
市村:コニカミノルタは、3年ほど前から非常に大きな変革を遂げようとしていて、いよいよ今年から山名社長の下、「TRANSFORM2016」という新しい中期経営計画が始まりました。これは簡単に言うと、コニカとミノルタが11年前に統合されて以来、綿々と培ってきたプロダクトビジネスをしっかり伸ばす一方で、サービスビジネスを強化していこう、ということです。私の仕事はこのサービスビジネスを伸ばすこと、それからプロダクトビジネスとの連動性を高めることです。
三宅:つまり「モノ売り」から「コト売り」に移っていこうとしている。これは一般的にいって、非常に難しいことですよね。メーカーにとってモノを売るということは、当たり前のようにやってきたことですが、サービスをビジネスとしてやっていくには別の視点が必要です。売り上げにしても、モノは売れた瞬間に売り上げが立つけれど、サービスは軌道に乗るまで売り上げは小さいままだという難しさがあるような気がしますが、どうですか。
市村:難しい部分もありますが、逆に、今まで持っていたいいものを活用できるという面もありますね。
モノは目に見えるけれど、クラウド、ICTサービスやソリューションは目に見えない。私が心掛けているのは、この見えないサービスやソリューションを「見える化」することです。
モノは、開発して、生産して、販売して、継続的に改善するという流れで作られていきます。実はサービスも同じです。サービスもやはり企画設計して、開発して、運用のプロセスをしっかり定義して、提供する。そのプロセスを見える化してKPIで管理し、継続改善していく。そういう基本的なプロセスは、実はモノもサービスも同じなのです。そのことをしっかりしたものづくりの組織文化を持つ人たちに理解してもらえれば、あとは動き始めます。
ただ、見えないものなので、不安感や恐怖心を持つ人もいます。「これからはそっちに行くんだ」と言われたとき、「そっちってどこだろう」と思う人もいます。だから「行き先はここで、われわれがフォーカスする領域はこういう領域ですよ」というふうに、はっきり定義してあげることが必要です。
それから大事にしないといけないのは、サービスに携わる人に対する意識ですね。サービスというのは、目に見えないし、その瞬間瞬間で消費される、現場でデリバリーされるものです。その点では、「人」のビジネスだといえます。ですから、社内の「人」に対する意識を大事にしなくてはならないと思います。
三宅:市村さんは、1年半前にNECからコニカミノルタに移られたとのことのですが、以前にもこのような会社の方向転換を経験していたのですか。
市村:そうです。NECで、2000年ごろから10年ほど、特にアメリカでサービス事業の強化にかかわってきました。
三宅:コニカミノルタでは、外部から来た人がいきなり統括部長になるというのは、過去にほとんど例がないと聞いています。やはり「外の力を借りよう」という動きがあったわけですね。
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