コニカミノルタのいい面と悪い面
市村:そうですね。コニカミノルタはコニカとミノルタの統合を経験していますので、自分たちの持っていないものと外部のものを合わせていくというダイナミックなカルチャーはすでにありました。外からの知見を入れるということに対して前向きなトップがいる、ということは大きいと思いますね。
三宅:市村さんとコニカミノルタとの出会いでは、どういうことがあったのですか?
市村:誘惑されて、合意したということだと思います(笑)。当時は専務だった山名社長と今の上司の原口常務の2人に会う機会があって、いろいろ話をする中で誘っていただき、今に至ります。
三宅:市村さんとしては、お2人に会ったときから、「面白そうだな」と思われたのですか?
市村:最初は違和感がなかったわけではないのですが、コニカミノルタのカルチャーと、特に2人のマネジメントスタイルには引かれました。2人とも当たり前のようにグローバルマインドを持っています。私自身も前の会社で長く海外を担当していたものですから、そのあたりは馬が合ったところはありますね。
三宅:コニカミノルタに入ってからは、どうですか。想像どおりでしたか。
市村:想像とは全然違いました(笑)。いい面と悪い面、両方ありますが、思っていた以上にいいなと思ったのは、非常にエネルギーがあるところ。悪い面はその裏返しでもありますが、非常に素直な組織だということですね。今まで培ってきたものにずっと素直に従ってきたので、その分、どうしても変化に対する抵抗感がある。変化しようという意識はあっても、体が動かないのです。
変えるというと「100%変わらなくてはいけない」と思う人が多いのですが、実は100%変わる必要はありません。なぜならこれからモノとコト、両方のビジネスをやっていくわけだし、組織の中に1000人いれば、1000人全員が変わる必要はない。今のビジネスも順調に利益を上げているのだから、全員が100%変わったら、逆に大変なことになってしまいます。
会社はそんなことを期待しているわけではなくて、今やっている業務の何割かを変えるだけです。優先順位の低いものをやめて、高いほうをやるということですね。だから私のアプローチは、「優先順位が高いのはこれ」と示すだけです。優先順位の高いほうを一所懸命やり始めると、優先順位が低いものは削れていきますから。
三宅:「100%変わらなくていい」と明言するのは、逆に面白いですね(笑)。とは言え会社としては、「半分だけ変わろう」というスローガンは掲げづらいので、やっぱり「変わろう」と言わざるをえないけれど、言われた社員からすると、素直であればあるほどつらくなってしまう。どこをどれだけ変えればいいのかは、会社は意外に定義してくれないですし。
ところで以前、社員の方にお話を伺ったとき、市村さんに「30点でも、40点でも、とにかくやってみればいいんだよ」と言われて以来、すごくホッとして仕事がやりやすくなったとおっしゃっていました。
市村:そうですね、とにかくやってみるのが大事です。一人ひとりの失敗した経験は、必ず組織力になりますから。そういう意味でも、失敗は早ければ早いほどいいですね。
たとえばあるビジネスの領域で、まだ自分たちは小学生、中学生レベルで、大人のビジネスができないということなどは、早くわかったほうがいい。そのほうが結局は確度の高いビジネスをより多くできるようになります。
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