日本企業は「現場のインド」を知らない インフォブリッジグループ 繁田奈歩代表(上)

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 インフォブリッジグループの繁田奈歩代表は、インドでの市場調査やコンサルティングを手掛ける「インドビジネスのプロ」だ。日系企業、外国企業を問わず、幅広くインド進出を支援してきた経験を踏まえ、繁田代表が見た日本企業と欧米企業の違いや、日系企業の陥りがちな症状とは何か? 日本企業は、インドビジネスにどう向き合うべきなのか?

日本のやり方を押し付けようとする企業が多い

三宅:この対談では、組織の中で新たな事業を創造する「ビジネスプロデューサー」の話を聞いていますが、今日は企業のビジネスプロデュースを外部で支援する立場からの話を聞かせてください。

まずは、今、繁田さんがインドで取り組んでいる仕事について話してもらえますか。

繁田:私はもともと、インドでビジネスを始めたいという会社のための市場調査をしていました。今はインドの調査会社に出資して、そこを調査や情報収集の起点としつつ、日系企業がインドに進出するときのプランニングやマーケティングのサポートをしています。

三宅:どのくらいの規模ですか。

繁田:調査会社はインド全体で200人くらいですね。それとは別にプランニングなどを行うチームがあります。そちらは常時雇用している従業員は少なくて、たとえば消費材に強い人、不動産に強い人というようにその都度チームを組成して、プロジェクトを推進していくやり方をとっています。

三宅:市場調査がメインということですが、プランニングなどは、どのような依頼が多いですか。

繁田:日系企業がインドに進出するにあたっては、情報がないと何も計画を組み立てられませんよね。だからまずは情報が必要になります。しかし、調査すればすぐインドでビジネスができるかというと、それはまた別の話です。そこで、調査して得た情報をどう解釈するのか、それを解釈したうえで何をすべきかを考えるお手伝いをしています。

その際に、企業が日本で考えた戦略をインドに持っていっても、全然、通用しないということはよくあります。しかし、自分たちのやり方をすぐには捨てられないこともある。そんなとき、インドではどういうふうに考えればいいのかのアドバイスもしています。

三宅:すでに日本の大手企業が何社もインドに進出していると思いますが、それらの企業からも依頼がありますか。

繁田:大半はインド進出前の会社ですね。

三宅:なるほど。じゃあ、けっこう「え?」という調査を頼まれるわけですね。

繁田:「え?」どころじゃなかったりして(笑)。正直に申し上げると、「そんなこと聞いても意味がないですよ」と言いたくなることも多いのです。大前提が根本的に違ったり、日本のやり方をそのまま押し付けようとしたりする会社も少なくありません。

三宅:具体的にいうと、どんなズレがありますか。

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