「就職人気企業に飛びつく」日本人に欠けた視点 賞味期限がとっくに切れたかつての成功モデル

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

こうした例は、ほかにもたくさんあります。周りがみなそうしているから何となくそれが正しいと思ってしまう。失敗が顕在化して自分が痛い目をみるまで気がつかない。人間というのはしょせんその程度の賢さしかない生きものなのです。

これまで何かに成功したからといって自分は何事においても正しい判断が下せると思い込むのは大いなる勘違いです。僕はいつも自分にそう言い聞かせています。

「自分の軸をつくる」のに必要なこと

『カベを壊す思考法』(扶桑社新書)書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

失敗しないためには、何事もゼロから自分の頭で考えなければなりません。しかし、これは口でいうほど簡単なことではないのです。

長年慣れ親しんだものの見方や考え方を手放すためには、自分の感情を理性でコントロールしなければならないし、それに成功したとしても、今度は自分のなかに新たな座標軸をつくらなければ次の判断ができなくなってしまいます。

「自分の軸をつくる」といっても、何からはじめればいいのか迷うのがふつうでしょう。ここでいつも僕が話しているのは「森の姿」をとらえよ、ということです。

「森の姿をしっかりとらえなければ、木を育てることはできない」のです。森の姿を見る、というのは、つまりは今の自分、今の会社、今の日本がどんな位置にあるのか、いままでよりも一歩引いた視点で俯瞰してみる、ということです。

どうやったら「森の姿」が眺められるのか。そのためには、見るべき木を定め、それと周りの木を比べることからはじめます。そして、個々の木にとらわれることなく、視点を全体に広げていく。かつての木はどうだったのか、隣の木はどんな様子か、そうしたことをつぶさに観察し記録をとってデータを見ていくうちに、次第に森の姿の全貌が浮かび上がってくるのです。

出口 治明 立命館アジア太平洋大学(APU)学長

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

でぐち はるあき / Haruaki Deguchi

1948年、三重県生まれ。京都大学法学部卒業後、日本生命保険相互会社入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て2005年に同社を退職。2008年にライフネット生命を開業。2017年に代表取締役会長を退任後、2018年1月より現職。『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『人類5000年史Ⅰ』(ちくま新書)、『「全世界史」講義Ⅰ、Ⅱ』(新潮社)、『仕事に効く教養としての「世界史」Ⅰ、Ⅱ』(祥伝社)、『本の「使い方」1万冊を血肉にした方法』(角川oneテーマ)、『教養は児童書で学べ』(光文社新書)、『ゼロから学ぶ「日本史」講義Ⅰ』(文藝春秋)など著書多数。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事