「就職人気企業に飛びつく」日本人に欠けた視点 賞味期限がとっくに切れたかつての成功モデル
かつての「成功モデル」は賞味期限切れ
毎年発表される「大学生の就職人気企業ランキング」を見ると、誰もが知っている大手企業がずらりと並んでいます。また、「新卒で入った会社に定年まで勤めたい」と考える人の割合は、それほど減ってはいないようです。
日本は、平成の30年間で世界のなかでの地位を大きく低下させました。購買力平価で見たGDP(国内総生産)のシェアは9%から4%に低下、IMD(国際経営開発研究所)による国際競争力は1位から34位に。平成元年(1989)には世界のトップ企業20社のうち14社が日本企業でしたが、現在は49位のトヨタ自動車が最高位という情けなさです。
こうした状況では、「よらば大樹」という安定志向が正解だと多くの学生が考えるのは無理からぬことです。就職先として公務員の人気も安定しているようです。でも、大きな組織のなかにいれば安心だ、というのははたして本当なのでしょうか? そうであれば栄華を誇ったローマ帝国やモンゴル帝国が永く世界の覇権を握っていてもよさそうなものですが、現実はそうではありませんでした。
それに、ランキングに入っているような大企業に首尾よく入社できたとして、その後、本当に安定した幸せな人生が待っている、といい切れるでしょうか?
確かに大学を卒業後、誰もが名前を知っているような一流企業に入り、安定した収入を得て家族を養い、定年後はローンを払い終えた郊外の一戸建て住宅で悠々自適に暮らす、という成功モデルが機能していた時期もありました。
しかし、そのモデルの賞味期限はとっくに切れてしまっています。「すべてを差し出す代わりに定年まで生活の面倒をみてもらう」という会社と従業員の関係も、終身雇用が崩壊しつつある今となってはもはや幻想でしかありません。働き方にしても、上司や先輩がやってきたとおりにやればうまくいくなどと部下や後輩が考えているようなら、その会社はすぐに倒産してしまうでしょう。
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