「就職人気企業に飛びつく」日本人に欠けた視点

賞味期限がとっくに切れたかつての成功モデル

つまり、大企業に入れば安泰だとか、忠誠を尽くしているかぎり会社は裏切らないだとか、上司や先輩が答えを知っているとかいうのは、高度成長期からせいぜいバブルまでの間の短い期間にだけ通用した「常識」であって、不変の真理では決してないのです。

結論をいえば、新卒一括採用、終身雇用、年功序列、定年というガラパゴス的なワンセットの労働慣行は、人の増加と高度成長が前提となっていたのです。そしてその前提は今やどこにもないのです。

けれども、僕を含め、人間にはなかなかこうしたことがわかりません。今日身の回りで起こったことが明日も起こると無邪気に信じてしまう。あるいは、現在自分が善悪や正誤を決めている基準が単なる思い込みかもしれない、と疑うことができない。

日本人が持つ「成功体験」の影響

とくに日本人は戦後あらゆることがうまくいって、焼け野原から世界第2位の経済大国に一気に駆け上がったために、経済的に見れば自分たちもたいしたものだ、という自信をもってしまいました。いつまで経っても日本が不況から脱出できないのは、その成功体験があまりに強烈だったことも影響しています。

以前はこれでうまくいったのだから、何かをドラスティックに変えなくてもせいぜい微調整で乗り切れる。日本人がゼロからものごとを考えることが苦手なのは、この期に及んでも心のどこかでそう思っているからではないでしょうか。だからこそ、自らの経験に基づく根拠なき精神論に固執し、グローバルな判断基準である「エビデンス、サイエンス、専門家の知見」に基づく真っ当な判断がなかなかできないのです。

それから、日本人にとって「世界が閉じている」というのも、ゼロから考えることができないもう1つの理由だといっていいでしょう。学校を卒業して会社に入ったばかりのころは、誰もがネクタイを締めて出勤し、初対面の人に名刺を差し出すという毎日に違和感を覚えます。しかし、たいていの人はしばらくすると、それがふつうだと感じるようになります。つまり会社という環境に適応するのです。

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