利用するつもりで列車の指定席券を買ったものの、諸事情で行けなくなったということは誰にでもある。不要となった場合、本来は手数料を支払って払い戻すべきなのかもしれないが、譲渡すること自体は禁じられない。購入した鉄道のきっぷを使用開始後に譲渡することはできないが(JR東日本旅客営業規則第167条1項(7)等参照)、逆に解釈すれば使用前の譲渡は禁じられていないということになる。
一方で、「指定席券の転売」に関して「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」(以下「迷惑防止条例」)違反で検挙される者がたまにいる。
「ダフ屋」行為は条例で禁止
迷惑防止条例は痴漢や「ダフ屋」を処罰する法令として知られる。ダフ屋は「あるなら買うよ、ないなら売るよ」とチケットを他人から入手して高く売ることで利益を得る商売である。迷惑防止条例は各自治体で制定されているが、例えば、東京都迷惑防止条例では第2条でまさに乗車券や観覧券などについてのダフ屋行為を違法なものと規定している。
この規定では、
を禁止している。違反したら6カ月以下の懲役か50万円以下の罰金が科せられる。
調べてみると、「指定席券の転売」に関して逮捕された事例は、購入が困難になると見込まれる指定席券をインターネットでの高値転売目的で購入したという理由のようである。
ただこれは、乗車券等をインターネットで転売する行為が違反ということではなく、「転売目的で乗車券を購入しようとして公衆の列に加わったこと」を違法としたもののようである。
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