国鉄の「迷」特急185系、モーター音うならせ降板 ダイヤ改正で「踊り子」定期列車からついに引退

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
特急「草津」として走る185系(写真:F4UZR/PIXTA)

2021年3月のダイヤ改正では、伊豆方面に向かう特急「踊り子」などで活躍してきた185系が定期運行を終える。この車両は1981年に伊豆方面の列車に就役してから40年にわたって活躍してきたのだが、国鉄の特急型電車としては異色の存在でもあった。

2月9日付記事(3月ダイヤ改正、引退が残念な鉄道車両列伝)でも触れたが、185系という電車は老朽化した急行型電車の後継車両として登場したものだ。首都圏が主たる活躍の場だったので、ほかの地域では印象の薄い車両なのかもしれない。

185系が登場した頃、国鉄の特急型電車の多くは1958年に登場した特急「こだま」の車両を基にアレンジしたものばかりで、183系や485系と形式が変わっても、車体の色はクリーム色と赤を組み合わせが当時の定番だった。185系ではデザインを一新、白に近いクリーム色に緑色の斜めの線・ストライプを3本入れた斬新な車体の色としたのだが、車内設備の評価は芳しくない車両でもあった。

特急料金を取る関東、無料の関西

先の通り、185系は急行列車の後継ぎの存在で、特急列車のみならず普通列車でも使用できるように造られたこともあって、車内設備は他の特急型電車よりも格下となっていた。特に、登場時の座席は「転換式」といって背もたれを動かして座席の向きを変えるタイプで、これは同じ時期に造られた117系という車両と同等のものだった。117系は関西で走っている新快速向けの車両として登場、こちらは転換式の座席を備えていながら「新快速」という、運賃以外に料金のかからない列車で使用された。185系では座り心地をよくしているものの、185系よりも少し前に作られた特急形電車ではリクライニングの機能が付いていたので、設備的には退化してしまったわけだ。

185系が登場した頃の国鉄では、赤字経営を改善するべく急行列車を特急に格上げする取り組みが少しずつ進んでいた。伊豆方面の列車も特急「あまぎ」と急行「伊豆」に分かれていたものが、185系が出そろうと特急踊り子として一本化されてしまった。

新型になったのはいいが、設備が大してよくなっていないのに特急となって値上げされてしまった印象が強い。ということで、「関西では料金がかからないのに、関東ではどうして料金を払うことになるのか?」という話もあって、関西の電車のサービス水準の高さがうらやましかったものだ。

次ページ特急型なのに窓が開く
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事