国鉄の「迷」特急185系、モーター音うならせ降板 ダイヤ改正で「踊り子」定期列車からついに引退

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特急列車以外では、東北・上越新幹線が大宮から上野に延伸されるまで、「新幹線リレー号」として使用されたほか、国鉄末期から着席列車の「ホームライナー」でも使用され、東海道線の「湘南ライナー」をはじめ、東北・高崎線や中央線のホームライナーでも使用されたことがあった。

これ以外では、高崎線や東海道線などの普通列車で使用されたが、普通列車での活躍は順次縮小された。最後は東海道線・伊東線の伊東行きで使用され、2013年3月のダイヤ改正まで残っていた。

数多くの臨時列車で活躍

臨時列車を加えると収拾がつかないほど種類が増えてしまう。代表的なものでは特急「はまかいじ」のほか、急行「軽井沢」や上越線方面の特急「新雪」、信越本線方面の特急「そよかぜ」、新宿経由で伊豆と前橋を結んだ特急「モントレー踊り子」でも使用された。

急行「軽井沢」や特急「そよかぜ」では碓氷峠も通過し、この区間では機関車に後押しされて走っていた。特急「はまかいじ」では京浜東北線の線路を走るため、京浜東北線用の保安装置(ATC)を搭載した専用の車両が改造で用意され、京浜東北線内では運転台の速度計まわりに信号が表示(現示)されていた。また、スキーブームに乗って国鉄末期から運転された「シュプール号」でも使用され、「フルフル」塗装という特別塗装の車両もあった。

後年は臨時快速にも使用され、夜行列車の快速「ムーンライトながら」がよく知られている。この列車は青春18きっぷの発売シーズンに合わせて運転されたが、2020年の運転を最後としてフェードアウトしている。事実上の廃止で、車両の老朽化も廃止理由とされているが、この列車では大勢の客を長時間密閉の状態に置くことになり、感染症の関連で列車設定が無理と考えるべきだろう。

このほか、「ホリデー快速鎌倉」では貨物線の武蔵野南線を走行するところがユニークだったが、こちらも区間によっては混雑が目立つ列車で、E257系が後継となってからは全車両が指定席となってしまった。

車体塗装の話も出たが、車体色はリニューアルに際して変更され、伊豆方面の「踊り子」向けとそれ以外で2種類の色があった。また、キャンペーンに関連して塗り替えも行われ、特急「あまぎ」の157系の色や、緑とオレンジ色を組み合わせた湘南色もあったが、現在は登場時のストライプ塗装に戻っている。

また、伊豆方面では下田に須崎御用邸にある関係でお召列車が走ることもあるが、185系もお召列車で使用された実績があり、貴賓車のクロ157という車両を間に連結して運転された時期もあった。

今回、特急「踊り子」での定期運行を終了する185系だが、すべての車両が廃車となるまでには少し時間がかかる見込みで、廃車となるまでに臨時列車で使用される機会がありそうだ。185系は団体列車での使用実績も多いが、完全な引退までは団体列車でも使用され、引退したはずの185系がひょっこり現れることがあるのかもしれない。

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