中国製造業の景気回復のペースが減速している。3月1日に発表された2021年2月の財新中国製造業購買担当者指数(製造業PMI)は50.9と、好不況の判断の目安とされる50を10カ月連続で上回ったものの、前々月(53.0)、前月(51.5)に続いて3カ月連続で低下。2020年6月以降の最低値となった。
拡大基調の鈍化は供給と需要の両面で生じている。製造業の2月の生産指数は過去10カ月、新規受注指数は過去9カ月の最低値を記録した。需要面では外需の不振が目立ち、新規輸出受注指数は2カ月連続の縮小基調となった。調査対象企業からは、「冬期の新型コロナウイルスの流行再拡大が市況に悪影響を与えている」との声が寄せられた。
需給の拡大鈍化は雇用にもマイナスだ。製造業の2月の雇用指数は3カ月連続で縮小基調圏に沈み、前月比の下落幅が拡大した。調査結果からは、雇用主が自主退職した従業員の補充に消極的なことが読み取れる。
先行きへの期待感は反対に上昇
その一方、インフレ圧力は緩和されていない。2月の製造業購買価格指数は引き続きボーダーラインを大きく上回った。調査対象企業によれば、(鉄や銅などの)工業用金属を中心とする原材料が急速に値上がりしており、物流コストもかなり上昇しているという。
興味深いのは、景気回復のペースが落ちているにもかかわらず、先行きに対する経営者の期待感がむしろ高まっていることだ。向こう12カ月間の楽観度を示す指数は、2月は2014年9月以降で2番目の高さを記録した。
「企業の自信の背景には(新型コロナの流行拡大を効果的に封じ込めたという)過去1年余り蓄積してきた防疫対策の経験がある。そんななか、冬場の季節性の流行期がもうすぐ終わることが期待感を押し上げている」。財新グループのシンクタンクCEBMのシニアエコノミストを務める王喆氏は、そうコメントした。
(財新記者:程思煒)
※原文の配信は3月1日
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