北京と上海を結ぶ高速鉄道の運営会社である京滬高速鉄路は1月29日、2020年の通期の純利益が30億7100万元(約500億円)から33億9400万元(約553億円)の間となり、前年同期比67.25~74.33%減少するという業績見通しを発表した。
大幅減益の背景は、言うまでもなく新型コロナウイルスの影響だ。2020年初めの中国国内でのウイルス流行やその後の厳しい防疫対策により、高速鉄道の利用者数が大幅に落ち込んだ。
京滬高速鉄路は主力の北京-上海線に加え、合肥-蚌埠線の全線、合肥-福州線の安徽省内区間、商丘-合肥-杭州線の安徽省内区間、鄭州-阜陽線の安徽省内区間という4路線の経営権を持つ。
同社は中国の国有鉄道会社である国家鉄路集団の傘下にあり、2020年1月に上海証券取引所に株式を上場した。北京-上海線は中国の鉄道で最も収益力が高い「ドル箱路線」とされるだけに、今回の減益見通しは新型コロナの傷の深さを改めて印象づけた。
広州-深圳・香港間の高速鉄道は赤字転落
京滬高速鉄路の運営路線を走る列車には2種類ある。1つ目は「本線車」と呼ばれる自社運行の列車。2つ目は「跨線車」と呼ばれる、他社が運行を担当して地方の路線から乗り入れる直通列車だ。
2種類の列車の売り上げは、経理上は本線車が運賃収入、跨線車が線路使用料収入としてそれぞれカウントされる。とはいえ、どちらの売り上げも乗客数の多寡に左右される点は変わらない。
2020年1~6月期の京滬高速鉄路の決算報告書によれば、同半期の本線車による旅客輸送人員は延べ959万人と、前年同期比61.7%減少した。2020年の通期の旅客輸送人員については、同社はまだ公表していない。
それでも他の鉄道会社と比べれば、京滬高速鉄路は健闘しているほうだ。例えば国家鉄路集団傘下のもう1社の上場企業で、広州と深圳・香港を結ぶ高速鉄道を運営する広深鉄路は、1月27日、2020年の純損益が4億元(約65億円)から6億元(約98億円)の間の赤字に転落するという業績見通しを発表した。
(財新記者:白宇潔)
※原文の配信は1月29日
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