科学者が夏には元の生活に戻れると考える根拠

アメリカで急浮上した楽観論の前提にあるもの

アメリカでは今、科学者の多くがウイルスとの闘いに勝利し、「パンデミック前の暮らし」の多くを取り戻すと考えるようになっているという(写真:Christopher Capozziello/The New York Times)

アメリカや世界の各地で、新型コロナウイルスは勢いを失いつつあるように見える。急激な増減を繰り返してきた感染者数、入院者数、死亡者数は、このところかつてない勢いで減っている。

ということは、コロナ禍はこれで終わるのか。これは終わりの始まりなのだろうか。

「以前の生活」が夏に復活と科学者は予想

科学者の多くは今、アメリカはウイルスとの闘いに勝利し、「パンデミック前の暮らし」の多くを取り戻すと考えるようになっている。本記事のために取材した21人の科学者の全員が、すでに最悪期は過ぎ去ったという楽観的な見解を示した。今年の夏には、以前のような生活が戻り始めるという。

だが、何にでも落とし穴は付き物だ。科学者は、アメリカ国民がゴールを目前にしながら、またしてもウイルスを侮って墓穴を掘るのではないかと気をもんでもいる。

今のところ、アメリカで承認されたワクチンは見事なまでの有効性を発揮している。出だしこそもたついたものの、接種ペースも上がってきた。とはいえ、ワクチンでパンデミックの勢いを弱めるには、まだ何週間という時間がかかる。免疫を回避する変異株も、想定を上回る速度で出現するようになっている。

ニューヨーク市ではつい先日、新しい変異株が見つかったばかり。気掛かりな別の変異株も、カリフォルニア州で急速に広まっている。科学者によると、イギリスで最初に発見された感染力の強い変異株が3月末までにアメリカでも主流になるという。

つまり、以前の生活に戻る道のりは、未知の落とし穴だらけだ。例えば、ワクチンの感染抑制効果はどれくらいあるのか、次々と登場する変異株に対しワクチンは十分な効果を維持できるのか、ウイルスがこれ以上進化しないよう世界はどこまで速やかにワクチン接種を進められるのか、といった疑問が立ちはだかる。

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