山田氏隠しで逆ギレ、菅降ろし「土石流化」も 菅首相のトップリーダーとしての資質に疑問符

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そこで与党幹部らが指摘するのは、菅首相の天領ともいわれる総務省の幹部が、首相が昔から付き合いのある東北新社と、そこに就職した長男から違法接待を受けていたことを、首相や官邸スタッフがなぜ事前に把握できなかったのかという疑問だ。

菅首相は、安倍政権での官房長官時代、政権内部で起こった数々の政治スキャンダルについて、自らをトップとするチームで内偵調査を徹底。臨機応変に閣僚も含めた関係者を処分し、「危機管理のプロ」と評価された。そして、「それが首相にのぼり詰める大きな要因」(自民幹部)ともなった。

ところが、今回の大規模な違法接待事件は、まさに菅首相の足元で長期間にわたり継続していたのに、週刊誌に暴露されるまで情報をキャッチできなかった。しかも、音声まで録音していた『週刊文春』の動きを想定していなかった。

菅総理には菅官房長官がいない

これは「菅チームが機能不全に陥った証拠」(自民幹部)でもあり、安倍晋三前首相が菅政権の不安として指摘した「菅総理には菅官房長官がいない」という言葉が、そのまま現実になった格好だ。

総務省幹部が利害関係業者からのあからさまな接待に応じた背景には、「首相の長男が一緒なら大丈夫」との認識があったことは間違いないとみられている。一連の違法接待が菅首相に伝わらなかったのは、「政権発足以来、『菅一存』とも呼ばれる独裁的政治手法への官僚の恐怖感と、過度な首相への忖度が理由」(閣僚経験者)との見方が支配的だ。

26日の首相インタビューでも機能不全が露呈した。菅首相が応答メモを持って秘書官も伴わずに1人だけで質疑に応じたことについて、首相秘書官経験者は「あのようなインタビューの場に首相を1人で送り出したのは愚の骨頂。秘書官らの責任放棄だ」と憤る。だからこそ「したたかな危機管理を誇った『菅チーム』が、菅政権になって完全に崩壊した」(自民長老)と指摘されるのだ。

菅首相にとって最大の痛手は、接待する業者の側に、菅首相の長男で元総務相政務秘書官だった正剛氏がいたことだ。山田前広報官は25日の国会答弁で、「(正剛氏の同席は)事前に認識はしていなかった」と釈明。総務省幹部たちも、「首相の長男の存在が、接待に応じた理由ではない」とそろって否定した。しかし、他省庁の幹部は「接待に応じたのは、相手が首相の息子だったから」(財務省幹部)と口を揃える。

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