過去最多の人気「通信制高校」を選ぶ人の生活 入学受け付けは大体3月まで間に合う
――不登校の人にとっては、学校で授業を受ける「スクーリング」の回数は気になるところ。多いパターンとしては週に何日程度なのでしょうか。
よく聞くパターンは3つです。まず、もっともメジャーなのが、週1回~2回だけ通学するパターン。1日通学したら翌日は休むなど、通学と自宅学習を交互に行なえます。学費の目安は、公立と私立の全日制高校の中間程度です。
次に、週5日間、平日は毎日通学するパターン。単位を取るための必須科目に加え、自分が興味ある分野を学ぶために外部講師の授業を通学で受けたり、大学受験に向けての勉強を行なったりします。学費は、ざっくりいえば私立の全日制高校程度のイメージで、公立の倍以上かかると思っていていいでしょう。
3つ目が、合宿パターン。ふだんの学習は通信教育が中心ですが、年に1回程度、沖縄や北海道、屋久島など自然の多い地域に一週間ほど滞在し、スクーリングやテスト、体験学習などを行なうというものです。地方への渡航費をのぞけば学費の目安は、公立の全日制高校と同程度です。こうしたパターンは、各校のコースによって異なってきますので、出願時に希望のコースを選ぶとよいでしょう。また入学後、その年に取得したい単位に応じて、通学日数も自動的に決まります。
――通信制高校に部活があるのか、どのように展開されているのかも気になるところです。
部活はありますが、数は少なく、また「入部すべき」という暗黙のルールはありません。実態としては、野球部や軽音部など比較的メジャーな部活動ほど展開される傾向にあり、定時制と通信制高校が合同で大会に参加するケースもあります。とはいえ、毎日生徒どうしが会うわけではなく、行ける人どうしで日程を合わせて集まり活動を行なうため、気軽に取り組めます。
――通信制高校では、学制服を着たい生徒、着たくない生徒の意思は尊重されるのでしょうか。
できるだけ制服着用を推奨する学校もあれば、入学式や卒業式などの式典だけ制服着用を求める学校、着用を義務づけるコースを設ける学校もあります。制服は学校によって方針が異なるところですが、制服を着用する・しないは自分で選べる学校が多いです。なかには、学校指定外の制服を着て登校できる学校もあります。いずれにしても、制服が気になる方は事前リサーチが必須です。
どう探せばいいのか
――入学申請をしたい場合、いつまでに願書を出せば間に合うのでしょうか。
仮に2021年の4月、つまり再来月から通信制高校に入学したい場合、大方まだ間に合います。多くの学校が20年度の3月まで願書を受け付けており、なかには21年度の4月上旬でも同年度入学の願書を受け付ける学校もあります。焦らず、数ある通信制高校からご自身に合う学校を探すのがよいと思います。リサーチ期間はまだ十分にあります。
では、どう探し、絞ったらよいか。次の点を意識するとよいでしょう。
第一に、実際にスクーリング(通学)の回数を途中で変更できるかどうか。週1回の通学コースから始めて、実情に応じて増やしたい人もいれば、週5回コースから始めて減らしたい人もいると思います。とくに学校へ通うのがつらかった人は、進学してから自分がどんな心理状態になるのか不安もあるかと思います。学期や年度ごとにコース変更ができる学校のほうが、無理なく学習が続けられるでしょう。
第二に、パンフレットなどの紙資料やHPだけで判断せず、できれば実際にキャンパスに足を運ぶこと。それが難しければオンライン相談会や電話などで、学校側と直接話をしてみることです。その際に、自分自身の悩みや通信制高校に対する不安を打ち明けてみることを勧めます。
自分の不安や疑問に真摯に対応してくれる教員や職員がいるかどうか。「自分にとっていい先生がいる」と思えたら、それは大きなポイントです。信頼できる先生がいることは、安心材料になり、学習継続のモチベーションにもつながります。どんな仕組みがあるかよりも「この高校へ通いたい」という気持ちが一番大事ですので、ご自分の目と耳で、自分にとって最良の通信制高校を見つけてください。
――ありがとうございました。(聞き手・石井志昂/編集・桜田容子)