森氏の女性蔑視発言が問う日本の「忖度文化」 マネックス社長や牛島弁護士らが指摘する宿痾

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マネックス証券の清明祐子社長は森氏の発言について、黙っていることができなかったと話す(記者撮影)

「私、女性です。取締役会議長やっています。結論から話しつつ背景も説明するようにしています。会議は予めアジェンダを決めて、先送りにせずに、その会議の中で結論を出すようにしています。

ご指摘の点、男女の問題ではないと思います。国際社会に対して恥ずかしいです…」

東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長の女性蔑視発言が最初に報じられた2月3日。マネックス証券の清明祐子社長は、このような意見をツイッター上に投稿した。

当初は「あ、またか」

森氏は「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと発言したが、清明氏は黙っていることができなかったという。清明氏はどのような考えで意見を表明したのだろうか。東洋経済のインタビューに、清明氏は次のように答えた。

仕事ぶりは男女で分けられるものではない、男女差ではないと言いたかった。当初は「あ、またか」「日本はまだそういう世界だよね」と心の中で思った人も多いと思う。
私は国内ネット証券会社で初の女性社長としてメディアで取り上げられることもあり、珍しい存在として認識されていて、伝達力を持つ立場にある。
ツイートするとさまざまな反響があると思ったが、黙っていることはよくない。発信することが重要で、「あの発言は問題かもしれない」と気づく人がいるだけでもいいと考えた。

ツイートに対する反響は予想以上だったが、賛同する意見が多かったという。また、マネックスグループ社長の松本大氏が意見を表明してくれたことの意義は大きかったと付け加える。

松本氏は組織委員会や政府、さらには生出演で森氏に弁明させていたマスコミに疑問を呈し、「それを許してる社会、即ち私たち自身の問題だと思う。彼が悪い、誰が悪いではなくて、私たちが当事者意識を持たないといけないと思う」とツイートしていた。

五輪の組織委員会の新会長となった橋本聖子氏は、約2割だった女性理事の比率を4割に引き上げる方針を掲げた。この動きを清明氏はどうみているのだろうか。

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