森氏の女性蔑視発言が問う日本の「忖度文化」 マネックス社長や牛島弁護士らが指摘する宿痾
(組織や企業は)「数」が好きですよね。私がかつて働いていた銀行では「女性活躍推進室」みたいなものが作られて、女性支店長の目標数が掲げられたが、当時も「数ありきではなくて、能力で決めるべきではないか」と強く感じた。
目標として人数を掲げるのはよいが、それよりも、その先のゴールや目指したいビジョンのほうが重要。そのゴールがなく、数のみを語られると違和感がある。
ただ、実際にその後女性の採用が増えてきたこともあり、「数値目標を設定したことをきっかけに変わってきたこと、進められてきたこともあるのだと思う」と清明氏は振り返る。
加速する女性役員比率引き上げの流れ
女性比率という数値目標を設定する流れは加速しつつある。日本経済団体連合会が2020年11月に示した新たな成長戦略では、日本企業全体として2030年までに取締役や執行役員に占める女性比率を30%以上にすべきという方向性が盛り込まれた。
なぜ女性比率の向上が急がれるのか。企業のガバナンス問題に詳しく、日本生命保険の社外取締役でもある牛島信弁護士は、企業経営における多様性の重要性を次のように述べる。牛島氏はNPO法人「日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク」で理事長を務めている。
取締役会になぜ多様性が必要かというと、社会が多様だから。海外でも事業を展開する企業であれば、多様性がなおさら必要だ。
でも、そういう取締役会を作らなければならないという切迫感が日本企業には不足している。いろんな立場の人から異なる意見を聞かずにおられないという経営者が、まだまだ足りない。議論が盛んではない組織は競争力を失っていくことを理解していないのではないか。
牛島氏は1949年生まれ。森氏より一回り下の世代だが、意思決定の場に男性しかいないことが当たり前の時代に育ってきた点は同じだ。
トピックボードAD
有料会員限定記事
マーケットの人気記事