ハリウッドで横行する賞をめぐる「接待」の実態 ゴールデングローブ賞の裏側にある癒着の構造

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2月28日に授賞式が迫る中、HFPAには厳しい見方が浮上するようになっている。HFPAは会員名簿を一般に公開しておらず、入会申請を受け付けることも極めてまれだ。ジャーナリストの団体であるにもかかわらず、報道機関に話をするのをおそれている会員までいる。

HFPAの実態が再び問題視されるようになったきっかけは、入会を3度断られたノルウェー人記者シャシティ・フラアが昨年起こした訴訟だ。フラアの恋人はHFPAの会員だったが、フラアはこの団体を訴えた。

ジャーナリストとして活躍している人がどちらかといえば少ないにもかかわらず、貴重なインタビュー機会を独り占めする独占体として機能している、というのだ。スタジオ関係者は票ほしさに会員にこびを売っている、と彼女は主張した。

テレビで「金の卵を産むガチョウ」に

HFPAは外部の人間から「ザ・カルテル」と呼ばれている、とフラアは語る。訴えの大半は裁判所から棄却されたが、フラアは少し前に訴えの内容を修正。同じく入会を拒否された別のジャーナリストも仲間に加えて、訴訟を続けている。

何人かの現会員と元会員はフラアが述べている事実関係は正しいと取材に語ったが、HFPAからの報復が怖いので名前は伏せて欲しい、と要望した。

HFPAが誕生したのは1940年代。ハリウッドを取材する外国人記者が結束し、映画スターの取材機会を増すのがそもそもの狙いだった。ところが、エンターテイメント関連の賞がビジネスとして急成長するに従い、HFPA会員の力は相対的に強まっていった。

ゴールデングローブ賞を「金の卵を産むガチョウ」に変えたのはテレビだ。2018年には全米ネットワークのNBCが年間6000万ドルで放映権を取得している。従来のおよそ3倍の金額だ。アカデミー賞やエミー賞は近年、数百万人という単位で視聴者を減らしているが、ゴールデングローブの視聴者数は1800万~2000万人のレンジで安定している。だからこそ、NBCは放映権に大枚をはたいた。

「これは全米ネットワークで放送される大型番組だ。そのインパクトは大きく、アカデミー賞を狙う映画関係者にとっては計り知れない価値がある」。賞の獲得請負人として広報キャンペーンを手がけるトニー・アンジェロッティは電子メールの取材にこう答えた。

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