ガイトナー米財務長官への辞任圧力がしだいに強まる、金融改革実行こそ優先課題


金融業界との関係がネック

金融業界が民主党に巨額の政治資金を提供していることもあって、議会のリベラル派は、サマーズ国家経済会議(NEC)委員長も、政治的な力がもっと弱いガイトナー財務長官も、金融業界との関係が非常に深い、という見方をしている。商業銀行が自己勘定売買をするのを禁じる規制が提案されているが、サマーズ氏もガイトナー長官もこれに反対している。対照的に、ポール・ボルカー元FRB議長や複数の著名な元財務長官は、賛成している。

08年に世界の金融システムを揺るがすきっかけとなった略奪的な取引慣行や明白な不正行為の防止を目的に、独立的な消費者保護機関を創設する動きがあるが、サマーズ氏やガイトナー長官がこれをどの程度支持しているのかもはっきりしない。

上院銀行委員会のクリス・ドッド委員長もまた、裕福なコネチカット州から選出されていることから、ウォール街の金融機関との関係が非常に深いとみられている。しかし、ドッド氏は最近になって、次回選挙に出馬しないと発表した。そのため、しがらみから解放されて、制度改革を推進する方向に動く可能性もある。ドッド氏は今では、消費者保護機関をFRB内部に創設する案に傾いているが、以前は、財務省内に置く案を提唱していた。この案が受け入れられなかったのは、一つには、ガイトナー長官の力が弱いからだ。

それでも、オバマ大統領がガイトナー氏について好意的な見方をしているのは明らかだ。ガイトナー氏は、父親の仕事の関係で、少年期を世界各地で過ごした。オバマ大統領もガイトナー氏も、アジアに対して深い関心を抱いているという共通点がある。また、公共へのサービスに献身的に取り組んでいる点でも共通している。ガイトナー氏は財務長官の前にNY連銀総裁を務めたが、そのときの年収は約40万ドル。これは決して少ない収入ではないが、ガイトナー氏は、巨額の報酬パッケージについて強欲や特権意識をむき出しにしたりすることがなかった。

ただし、オバマ大統領がガイトナー長官に好感を抱いているかどうかが問題なのではない。金融制度の大改革が極めて重要な優先課題となっている今、オバマ大統領はいったいいつまで、ガイトナー氏を現在の職にとどめておくことができるのだろうか。

(本誌特約・ニューヨーク駐在:ピーター・エニス =週刊東洋経済2010年4月10日号)

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