生産性も向上「マインドフルネス」注目の背景 Sansan、カルビー…日本でも導入企業が拡大中

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マインドフルネスの本場、アメリカではすでに1000億円に市場が拡大している。ニューヨークなどの都市部には瞑想するためのメディテーションスタジオも多く、全米では約2500カ所を超える。

久賀谷氏によると、アメリカでマインドフルネスがブームになったのは2007年ごろ。アメリカのグーグルが導入し、「SIY(サーチ・インサイド・ユアセルフ)」という独自のプログラムを作ったことで一気に広がった。これは体を整え、自分自身を認識することを主眼に置いたものだ。関連の書籍が数多く出版されている。

コロナ禍の今、グーグルはどんなプログラムを行っているのだろうか。グーグル本社に聞くと「コロナ禍でのストレスや不安からの回復力(レジリエンス)を育む、オンライントレーニングを行っている」と回答があった。アスリートや心理学者が解説する動画を定期的に配信しているという。

元社員やマインドフルネスの専門家によると、少し前のグーグルでは2つのプログラムが行われていた。1つは前述のSIYで、数日間の日程で行われ、何のために生きるのかなど根源的なテーマを深堀りするものだ。

もう1つは体、感情、集中、精神の4つのエネルギーを適切に使えるようにするプログラム。瞑想や食事を取ることだけに集中する時間をつくる。2つのプログラムとも社員が講師になり、勤務時間内に行われていた。5年前までグーグルに在籍し、コンサルティング会社代表のピョートル・フェリクス・グジバチ氏は「選考を通らなければ参加できないプログラムがあるほど人気があった」と振り返る。

生産性の向上にも寄与

グーグルだけではない。限られた時間の中で最大限のパフォーマンスを発揮できるとして、フェイスブックやシスコ、パタゴニアなどの大手企業などが導入し、「数年前の時点でアメリカ企業の56%が取り入れている」(久賀谷氏)。

具体的な数値での成果も報告されている。アメリカの医療保険会社エトナは、マインドフルネスを取り入れる前と後で従業員にアンケートした。導入後に「ストレスを感じている」と回答した人は、導入前に比べて3分の1に減った。すべてがマインドフルネスを導入したからとは言えないが、1人あたりの生産性も年間約3000ドル向上したという。

日本では導入企業が増えてはいるが、アメリカに比べればマインドフルネスの認知度自体、まだまだ低い。今回取材した久賀谷氏と中村氏らが共通して強調したことがある。

それはマインドフルネスを宗教的なものと切り離して考えることだ。アメリカではヨガと同じで「ちょっとイケてるもの」として受け入れられやすい。一方、日本では瞑想から仏教とつながっているものと捉える向きがあるという。そうした固定観念を振り払うこともマインドフルネスを試す第一歩かもしれない。

コロナ禍でストレスフルな状況が続く中、マインドフルネスがストレス低減の一助になるだろう。

『週刊東洋経済』2月27日号(2月22日発売)の特集は「脱・ストレス」です。
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