立ち席、有料トイレ…低価格化や新発想の実践なくば生き残れない世界の航空業界

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 経営陣と労働者の争いの根は深い。単にイギリスのフラッグシップだけの問題ではなく、世界の航空業界で起っている現在進行形の航空業界で働く労働者と経営の構造改革の事象なのだ。

「立ち乗り席」や「トイレ有料化」など新機軸を打ち出す新興勢力

BAはビジネス客にターゲットを絞り、2000年に世界で初めてフルフラットシートを導入。ファーストクラスやビジネスクラスでのサービスに定評があり、06年には、旅行者満足度の調査からエアライン・オブ・ザ・イヤーに選ばれたこともある。
 
 しかし、空の高級ホテル的存在が昨今の景気悪化から、格安航空会社のライアンエア、ヴァージン・アトランティック、イージージェット、BMIグループ、フライビー(Flybe)などと、価格競争をしなければならなくなっている。
 
 ライアンエアのマイケル・オレアリーCEO(48)が言うように、昨今では「地点AからBに安全に運航することが乗客の主目的」だ。
 
 BAは高級路線でありながら、幅広い層の旅客を求めてきた。BAは各航空会社と比べ、客室乗務員への高給や乗客1人当たりの乗務員数の多さで知られる。だが、年々BAを利用する旅客の数が減っている。

そんな中、ライアンエアは、飛行中に乗客が立ったままでいる「立ち乗り席」の導入に向け、米航空機大手のボーイングと協議していることを明らかにした。ライアンエアは手荷物の有料化、チェックインの完全ネット化など、次々と革新的な?事業展開を打ち出し、この不況下でも2ケタの成長を見せている。
 
 さらに、太った乗客を対象とした「脂肪税」(!)の徴収、上空でのトイレ使用を有料にするなどの案も打ち出しており、ライアンエアはますます元気だ。BAのウォルシュCEOが懸念するのも無理はない。

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