立ち席、有料トイレ…低価格化や新発想の実践なくば生き残れない世界の航空業界
「日本航空を見ろ。何十年も国旗を掲げた世界航空業界の強者だったが、この1月に倒産したんだ!」
英航空大手ブリティッシュ・エアウェイズの最高経営責任者(CEO)ウィリー・ウォルシュは、昨今の厳しい経営状況の必然として経費削減を訴える。
ブリティッシュ・エアウェイズことBAは倒産したJALと違い、倒産に追い込まれるような財務状況ではない。しかし、格安航空会社の追い上げや燃料価格の高騰などにより、2009年3月期は赤字に落ち込んだ。
企業体質改善のため、BAの経営陣は、パイロットや技術者、客室乗務員らに経費削減に向けた交渉を続けていた。一部で合意を得たものの、客室乗務員の大手組合ユナイトとの交渉が決裂し、ストライキ突入となった。
復活祭の休暇で海外旅行を予定し、BAに予約を入れていた旅客にとって大きな迷惑なのには違いない。だが、パイロットたちや地上職社員らが、客室乗務員としての訓練を受け、ユナイトのストライキ中に働いた。また、隠れテロリストが地上職から空の訓練に交じって逮捕されたり、話題には事欠かない。
筆者は偶然だが、BAのストライキのあった3月20~22日の翌日、23日に、BAでアムステルダムからロンドンに飛んだ。大した混乱もなく、BAのクルーのサービスは行き届いていた。強いて不具合を挙げるなら、機内で免税品の販売がなかったことぐらいだ。
BAのストライキは2009年末から懸案の事項。今回のストライキでも客室乗務員組合とBA経営陣の間の意見の一致が見られず、4月半ば以降に再度、客室乗務員主導でのストライキが予定されている。