世界最速級ワクチン接種!イスラエル驚異のDX

「ゼロリスク志向」こそ日本の最大のリスク

日本でも新型コロナウイルスに対するワクチン接種が始まったが、国民の多くに行きわたるのはまだまだ先の様相。一方、イスラエルでは3月には国民すべてに対する接種が終了するといわれる。この差が生まれたのはなぜか(写真:MicroStockHub/iStock)
日本でも新型コロナウイルスに対するワクチン接種が始まった。医療従事者、高齢者から開始され、接種が国民の多くに行きわたるのはまだまだ先の様相である。一方、イスラエルではこの3月には国民すべてに対する接種が終了するといわれる。この彼我の差はなぜ生まれたのか。国家の規模、医療制度の違いなどさまざまな要因が上げられる。しかし、そこにデジタルインフラへの取り組みの差、その背景にある社会の意識の差があると指摘する『世界のエリートはなぜ「イスラエル」に注目するのか』の著者・新井均氏がその背景を解き明かす。

イスラエルでのワクチン接種最新情報

2月最初の週、複数の地上波およびBSのニュース番組で、「世界最速でワクチン接種が進むイスラエル」という趣旨での報道があった。

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放送時点で、すでにイスラエル国民の2割以上にワクチン接種が終わっているという事実を踏まえ、イスラエルに住む日本人の取材や、在日イスラエル大使館公使の出席により、どのようにワクチン接種が進められているのかなどの現地事情が紹介され、日本はなぜ出遅れているのかという論調の議論がなされた。

日本でもロジスティクスのシミュレーションが始まったこともあり、時節柄、これらの報道は多くの視聴者の関心を得ていた様子が伺える。筆者は長年イスラエルをウォッチしている立場から、1月11日に「『危機管理としての医療』日本の問題点をイスラエルに学ぶ」(WirelessWire News)、1月26日に「迅速なワクチン接種で注目される、イスラエルのHMO(健康維持機構)とは」(ISRAERUウェブマガジン)という記事を各WEBメディアに寄稿した。

その後、さらにワクチン接種が進み、効果に関する報道も散見されるようになってきたイスラエルの最近の状況も踏まえ、改めてわれわれ日本人にとって重要と思われる論点をまとめたい。

まず、ワクチン接種に関する最新の情報を整理しておく。HAARETZというイスラエルの新聞によれば、2月5日の時点で、国民の36.2%(約330万人)にすでに1回目の接種が終わり、21.9%は2回目の接種を完了している。

ワクチン接種の結果が本格的に見えてくるのはこれからだと考えるが、イスラエル保健省のデータを分析した2月5日のnatureによれば、60歳以上の年齢層で感染者数が41%低減し、1月中旬から2月上旬の間の入院数が31%減少したとし、ワクチンが機能していることを示す有望な兆候だと指摘している。

一方で、HAARETZは2月2日の時点でR値(実行再生産数)が、その前の週は0.9で安定していたのが0.97になったことも報じている。イスラエルの中央年齢は30.1歳であり、国民の半数以上を占める若者にはまたワクチン接種が回ってこないため、R値が安定して下がるのはもう少し先になるのではないだろうか。

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