コンサルで叩き込まれる「思考の枠組み」2選 PLCやポジション・マトリクスを説明できますか

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次の段階である成長期は、製品・サービスが消費者・ユーザーに受け入れられ、知名度も上昇し、売上高・利益ともに大きく伸びる時期のことです。

多少のマーケティング上のミスや失敗はあっても、それさえプラスに変えて発展の軌道にのります。

成熟期は製品・サービスが市場に行き渡っている時期です。売り上げの上昇率は鈍り、そのうち横ばいになり、利益は減少し始めます。

衰退期は売上高・利益とも減少し、やがて赤字となり、製品の生産・販売中止や事業の売却・閉鎖などを考えざるをえなくなる時期です。

どんなに強力な製品・サービスであっても、このプロダクト・ライフ・サイクルから逃れることはできません。つまり、単品の主力製品に頼った経営を続けていると、その製品が成熟期から衰退期に移行したときに、会社も一緒に衰退することになりかねない、ということです。

ただし、すべての製品・サービスが必ず4つのステージをたどるとは限りません。発売された途端に売れ行き好調で導入期がないように見えるもの、成熟期が長く続き、衰退期を迎えそうにないもの、あるいは、発売されたものの消費者の興味・関心を引かず、成長・成熟期を迎えることなく、市場から消えていくものもあります。

ステージ区分は便宜的なもので、各ステージがいつ始まりいつ終わるのか、厳密な定義はありません。ただ「自社の製品・サービスが、いまどのステージにあるか」を知ることで、マーケティング戦略、販売戦略を立てやすくなるのです。

衰退期を迎えたら?

カメラメーカーA社の新製品開発の話に戻りましょう。

実は、デジタルカメラ市場もプロダクト・ライフ・サイクルでいえば、明らかに衰退期を迎えています。

デジタルカメラの世界出荷台数を見ると、2010年には1億2000万台を超えていましたが、2017年は2497万台にとどまっています(カメラ映像機器工業会調べ)。わずか7年間で市場が5分の1に縮小したわけです。

デジタルカメラは重量も軽く、手軽に撮ることのできるコンパクトデジタルカメラと、高品質で重量感のあるレンズ交換型カメラ(ミラーレスや一眼レフなど)の2つに分けることができます。

ただし、SNSの普及で、撮ってその場で投稿できるスマートフォン(スマホ)のほうが、はるかに使い勝手がよいため、消費者に支持されています。その結果、デジタルカメラ全般、とくにスマホと競合するコンパクトデジタルカメラは売れなくなり、市場も縮小しました。

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