コンサルで叩き込まれる「思考の枠組み」2選 PLCやポジション・マトリクスを説明できますか
まず、2018年にはコンパクト専業だったカシオが市場から撤退しました。さらに、ニコンやキヤノン、オリンパスといった大手カメラメーカーのコンパクトデジタルカメラも、2010年をピークに下降曲線をたどり続け、2018年の年間販売台数は、ピーク時の4分の1にまで落としています。
ところが、ここにきて急速に普及したインスタグラム(Instagram)の影響で、一眼レフやミラーレスなど「レンズ交換型市場」の縮小スピードが鈍化してきました。「インスタ映え」「フォトジェニック」を狙う若い世代が、スマホでは撮りきれない高品質な写真を求めるようになったからです。
ただ、ミラーレスや一眼レフなどのレンズ交換型はコンパクトデジタルカメラに比べると重く、女性には扱いにくいという難点がありました。そこであなたは、デジタルカメラ市場のプロダクト・ライフ・サイクルを分析。全体としては衰退しているものの、市場を細分化してみると有望なセグメントもありそうだと見込みをつけました。
有望なセグメントはどこか?
有力な競合メーカーも多く、競争の激しい市場で新しい製品・サービスを考えるため、「ポジション・マトリクス」を使って考えてみましょう。
ポジション・マトリクスは「緊急・重要度のマトリクス」として、物事を実行する際の優先順位を明らかにするのに効果的なフレームワークですが、いろいろな応用が可能です。新製品開発に使えば、どのようなポジションの製品・サービスとして、かたちにすればいいのかを明らかにすることができます。
そこであなたは、上図のようにタテ軸に「重量」、ヨコ軸に「インスタ映え度」をとり、デジタルカメラのプロダクト・ライフ・サイクルとポジショニングを検討することにしました。
その結果、いろいろなことが見えてきました。
左下の象限にあるコンパクトデジタルカメラは、スマホと正面から競合しており、SNSとの連動を考えると、通信機能を備えたスマホに軍配があがったのは当然のことです。
そこであなたは、右下の象限の「軽量でインスタ映えする」に注目しました。「SNS用に見栄えのいい写真を撮りたい」「ミラーレスも一眼レフも重くて扱いづらい」といった女性の声が多いにもかかわらず、これまでそうした声に応える製品が出ていなかったからです。
そこで、あなたはA社に対し、従来のデジタルカメラとは一線を画した「最軽量の一眼レフカメラ」という新製品の開発を提案しました。技術陣のなお一層の頑張りが求められるものの、開発に成功すれば、新しい市場を開拓できるのは間違いありません。
このように、ポジション・マトリクスを使用する際は、タテ軸・ヨコ軸の指標に何をとるかが重要です。ここでは「重量」と「インスタ映え度」をとりましたが、それはこのフレームワークを何に使いたいのか、という「目的」によっても変わります。ほかにも機能、品質、価格、スタイル(デザイン)など、さまざまな指標が考えられ、まだない市場を探し出したり、差異化戦略をとるうえで、非常に有効なツールです。
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