英単語は丸暗記よりも「語源」で覚えるべきだ ネイティブレベルの語彙数を芋づる式に習得
lavatoryとlaboratoryの区別がつかなかった大学時代
「先生、英単語はどうやって覚えるのがいちばん効率的ですか?」。これは、私の職場である高校の生徒たちからよく聞かれる質問です。
英単語集は、さまざまあります。「試験に出る」単語集、「例文」で覚える単語集、「ゴロ」で覚える単語集、「イラストを見ながら」覚える単語集、「CDを聴きながら」覚える単語集などなど。実にさまざまな本が書店に所狭しと並べられています。
ただ、「最も効率的な英単語の覚え方は、語源学習によるものである」。これが約40年間、英語を指導してきた私の結論です。
そもそも私が語源に着目したきっかけは大学時代に遡ります。当時、lavatory「トイレ」とlaboratory「実験室(研究室)」の区別がどうしてもできない時期がありました。そこで、この似て非なる2つの英単語をじっくり見比べてみると、laboratoryの単語の中に、laborという「労働」を意味する単語を発見したのです。
その後、語源辞典でlaboratory を調べてみたところ、「labor(労働)+ory(場所)」という記述があり、「“労働する場所”だから実験室なのか……」と、まさに目から鱗が落ちました。lavatory とlaboratory。一見、似たようなつづりですが「語源」を知ると、その違いが明確になります。思い返せば、その頃から私は語源の世界に魅せられていたのでしょう。
一見、このような学習法は、遠回りに思われるかもしれませんが、語源の力によって1万語レベルの語彙が身につくことは、すでに語源研究によって実証されています。
ちなみに「1万語」というと、英字新聞や雑誌を不自由なく読める程度の語数とされています。このレベルにもなると、社会・経済・政治などの分野で使われる学術語や抽象語も含まれるようになり、より高度な世界に広がります(ちなみにネイティブの平均語彙数は3万語、東京大学の入試合格に必要なのは6000語だと言われています)。
このようなネイティブレベルに匹敵する語彙数を、語源学習によって効率的に手に入れることが可能になるのです。
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