部活で「17キロ減量命令」従った女子高生の悲劇 公開で体重測定、部員からの罵声も

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今回のケースで、相談者に減量を命じた顧問の指導や、体重測定を強要したほかの部員の行為には、どのような法的問題があるのでしょうか。佐田理恵弁護士の解説をお届けします。

――部活顧問による減量命令は「体罰」にあたるのでしょうか。

体罰とは、身体に対する侵害を内容とする懲戒(殴る、蹴るなど)や被罰者に肉体的苦痛を与えるような懲戒(正座・うさぎ跳びを強いるなど)をいうとされています。

今回のように、17キロの減量を達成するまで練習や試合に出さないというのは、それ自体は、体罰にはあたらないのではないかと考えます。

児童生徒が学ぶ機会を奪う「行き過ぎた行為」

しかし、高校の運動部活動は、学校教育活動の一環であり、児童生徒が自発的・自主的にスポーツを行い、より高い水準の技能や記録に挑戦するなどしてスポーツの楽しさや喜びを味わい、学校生活に豊かさをもたらすという意義を有しています。

それを、体重を理由に練習にも参加させないなどということは、児童生徒が学ぶ機会を不当に奪う、行きすぎた行為であると言えます。

相談者は、自らにランニングと食事制限を課し、生理が止まってしまうほどの無理を強いられることとなりました。

さらに、練習への参加が一度は認められたものの、体重が数キロオーバーしていたことで、再び暴言を浴びせられ、練習に参加できなくなり、最終的に、過度なストレスが原因で倒れてしまったというのですから、顧問の責任は重大であると言えます。

また、体重測定の強要といったほかの部員からのいじめも、こうした顧問の問題ある指導により誘発されたと考えられます。この点においても、顧問の責任が極めて重い事案です。

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